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ちいさな(※主観)智くんと、オレのプライド防衛戦 24

「……仕事の一環だ」  智の父は吐き捨てるようにそう言った。  睨みつける眼光の鋭さは相変わらずだが、智に「何やったの⁉︎」と詰め寄られて、わずかに……本当にわずかにだが、視線を泳がせたのをオレは見逃さなかった。 「パパ! 飯野おじさんの会社に潜り込んで面接官やるなんて職権乱用だよ! もしかして落とそうとしてたの⁉︎ 龍成さんがどれだけ頑張って準備してたか知ってるの⁉︎」 「……ふん。飯野に『面白いアルファがいるから見に来い』と誘われただけだ。それがたまたま、我が家で不届なことをしようとした犯罪者だというだけの話だ」  智の父は腕を組み、仁王立ちでオレを威圧する。  スーツ姿のせいも相まって、地面から見上げる智の父は地獄の裁判官か執行官か鬼かって感じだ。  けれど合点がいった。  あの時、面接の途中で席を外したのは、トイレでも不機嫌でもなかったんだ。  目の前で自分の息子のことを熱烈に語るオレの惚気に、親として耐えられなくなっただけっぽい。 「とにかく! 海も山もダメっ!」  相手が親だからだろうか、いつもよりも飾らず、強い調子でいう智の姿は新鮮で、オレはこんな状況なのにちょっと胸が高鳴ってしまう。  今はまだ敬語ばかりで砕けた口調は少ないけれど、もっと二人だけの時間が増えたら、いつかこんなふうに軽いやりとりもできるんだろうか?  そう思うと、にへへ……と笑みが溢れてしまう。 「……智。そいつのどこがいい? 顔も体格も人並み。腕相撲をやらせれば三秒で沈むような軟弱者に見える」  智の父がそういうと、オレを囲んでいた黒服の一団がパンプアップした腕を見せつけてくる。  本職たちと比べたら、自分の腕の筋肉なんて飾り程度のものだ。 「軟弱じゃないもん! 龍成さんは優しくて、僕のことをちゃんと見てくれる、芯が強くて言ったことは絶対にやり遂げる、世界で一番かっこいいアルファなんだから!」  智がオレを庇って父に向かって一歩踏み出す。  同じくらいの巨体の二人が至近距離で対峙すると、そこだけ空気がミシミシと鳴っているような錯覚に陥る。 「龍成さんは最高なんだよ! それがわからないのはパパの目がおかしいの!」 「……おい、智。お父さんにそんな言い方……」 「龍成さんは黙ってて! パパ、龍成さんに謝って! さっきだって、部屋から摘み出すなんて酷すぎるよ!」  智の怒鳴り声に、周囲の黒服たちが一斉にビクッとした。  どうやらこの家では最強のαである父親よりも、怒った時の智……Ωの方が、ある種「最強」として恐れられているらしい。 「謝る? 私が? ……こいつは、お前に手を出そうとしていたんだぞ? 密室で!」 「それはっ……僕が、して欲しいって思ったんだもん! それに……キ、キスだけだもんっ多分っ」

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