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ちいさな(※主観)智くんと、オレのプライド防衛戦 26

 交際どころか人生のピンチなんじゃないだろうか⁉︎ 「そんな意地悪ばっかり言うパパ、嫌い!」  オレの両手でも握り込めないサイズの拳を作り、目一杯叫んだ智に周りの黒服たちが息を飲み、ハラハラとした気配をさせながら智と父親の顔を交互に見て、成り行きを見守っている。 「な  」 「龍成さんに酷いことばっかりする!」 「大事な子どものことを気にかけるのは当然だろう?」 「僕、もう子どもじゃないもん!」 「自分の子は何歳になろうが子どもだろう!」 「そんな屁理屈言ってるんじゃないもん!」  二人の言い争いはヒートアップしていき……オレだけじゃなく、黒服の皆さんも固唾を飲んで親子喧嘩を見守っている。 「パパの分からず屋! もういい、駆け落ちする! 二度とこの家の敷居は跨がないから!」  ざわつく黒服の皆さんを気にもせず、智はこっちに近寄るとサッとオレを横抱きにして「ふん!」と父親からそっぽを向く。 「わ……わ? わぁー……お姫さま抱っこだぁ……」  智の腕の中で思わずぎゅっと身を縮めてしまうのは、こんな抱き上げられ方をするなんて考えたことがなかったからだ。  足は浮いて自分じゃ支えられないし、歩くスピードも全然自分の速さじゃない。目線の高さもいつもと違うし振動も視界の揺れも違って……何より、腕の中から見上げた智は、いつもの可愛い智じゃなくて、男らしいっていうか、かっこいい!  可愛いだけじゃなくてかっこいいなんて、反則級の恋人じゃないか⁉︎   「ま、待て智! 極端すぎる! 止まりなさい! お前は昔から一度言い出したら聞かないところが……っ」    最強のαと言っても過言じゃないはずの父親が、智の「嫌い」の一言と行動で目に見えて狼狽し始めた。  あんなに恐ろしかった威圧的なフェロモンが、今は霧散して、ただの「息子に嫌われたくないお父さん」の必死な気配に変わっている。 「……この人、智に弱すぎ」  思わずこぼれた声はお父さんには聞かれなかったが、黒服の皆さんはちゃんと聞いていたらしく、こっそりと視線だけで頷いてくれた。 「分かった、分かったから待ちなさい!」  迷いのない歩調で庭を横切っていく智に向けて、大きな声が追いかけてくる。  それは、智の父親の事実上の敗北だった。  大広間を見たことがあったけれど、それは修学旅行でのことだ。  そんなものが個人宅にあるなんて……と驚きそうになったけれど、元々家のサイズがおかしいんだからあっても不思議じゃないって気づいた。  襖を取り払い、さらに広く取られたそこは、現実感がなくてまるで映画のセットのようだ。

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