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ちいさな(※主観)智くんと、オレのプライド防衛戦 29
深く深く吸い込めば、オレの理性全部をゴッソリと持っていってしまいそうなほどで……ターミナルなんて公共の場で智を押し倒したくなってしまったのを、歯を食いしばって堪える。
変にここでがっついて引かれでもしたら、ショックすぎるし。
「龍成さんっ……日に、焼けましたね」
切れ長な目尻に透明の滴をいっぱい溜めて、それでも智はにっこりと笑う。
衛星電話でのやり取りはできていたけれど電気の関係で頻繁には無理だった、このご時世に映像すら届かないジャングルの奥地で……どれほどこの笑顔を待ち望んだか。
「智は……ますます可愛くなった」
以前よりも少し大人びて……子供っぽさの残る顔立ちは涼やかな大人の雰囲気になっている。
それでもオレの目には、可愛く映るのだから、可愛いって表現はしょうがない。
三年間、ずっと思い描いていた再会だ。
ずっとこの日のために計画を立てて、準備してきた。けどその前に、黒服の皆さんが目隠しになってくれているし、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ……再会のキスとか…………どうだろうか?
三年ぶりの温もりが腕の中にいるのだから、もっと欲張ってもいいはず!
黒服さんたちも、ハグは見て見ぬ振りしてくれてるんだから、これくらい……っ!
「あっ……龍成さん、パパが帰国の歓迎をするからうちにおいでって」
唇を突き出した瞬間にあの父親のことを言われて、思わずピッと背筋が伸びる。
周りの黒服さんたちが「あーあ」みたいな顔しているけれど、あの父親の威圧的なフェロモンは三年経った今でも忘れられないくらい強力だった。
「あの……だから、うち、に、きますか?」
「それよりもオレっ……話があって。先にそれを話したいんだけど、いい?」
向き直って見上げながら告げると、ニコニコとしていた表情が一瞬揺らいで……
「…………あ、後じゃダメですか? お祝いの食事をしてからとか 」
「お父さんに会う前に! 話しておきたいんだ」
歯切れ悪く拒否されて、なんとなく手放しでオレとの再会を喜んでいるんじゃないのかなって、ふと思ってしまった。
智は、すごく可愛くて綺麗で、性格もいいし、料理だってうまいし、気遣いもできて完璧すぎる子だ。
そんな子と三年も遠距離恋愛……
大学生活はきっといろんな誘惑もあっただろうし、新しい出会いもあっただろう。傍に居ないオレなんかより、もっといいαを見つけていたら?
「…………」
頭がおかしいと思われるかもしれないが、オレは智が心変わりするなんてこれっぽっちも心配なんてしていなかった。
今の今まで!
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