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ちいさな(※主観)智くんと、オレのプライド防衛戦 32
「嘘です! ……っだって龍成さん、あんなにたくさん……赤ちゃん用のオムツとか、ベビーカーとか、知育玩具まで、日本からわざわざ取り寄せてたじゃないですか! 僕、衛星使ってこっそり覗いてたんですから! 飯野おじさんにもちゃんと何を送ったのか確認もしたし……!」
「…………あ」
赤ちゃん用品。大量のオムツ。
点と線が、マッハの速さで繋がった。
「……智、落ち着いて聞いてくれ。それ、全部ン=ザイロくんの子供たちの分だ!」
「……え?」
泣きじゃくっていた智が、ぽかんと口を開けてオレを見上げた。
オレは必死に、記憶の引き出しをひっくり返して説明を捲し立てる。
「ン=ザイロくん……オレの通訳をしてくれた彼だよ! 彼は奥さんが八人いて、子供が十四人もいるんだ! 現地では物資が足りなくて困ってるって言うから、オレがお祝いとして取り寄せたんだよ。ほら、写真もある! 見てくれ、この十四人の子供たちと、満面の笑みのン=ザイロくんを!」
スマホを取り出し、泥だらけの子供たちに囲まれてピースサインをする、いかにも「あどけない笑顔をこぼす少年」といった風貌の男の写真を智に見せる。
実際にン=ザイロくんは少年でいい年齢なんだけど、向こうだとちゃんと成人認定なんだよなぁ……
「……え、…………えええぇぇ⁉︎」
智の叫び声がターミナルに響き渡る。
「じゃあ、あのお祝いの品って……全部、その通訳さんの……?」
「そうだよ! オレの子供なわけないだろ! 智と付き合い始めてから一度も智以外のΩと……いや、誰ともそういうことはしてない! っていうか、そんな余裕一秒もなかったしな」
「……っ、うわぁぁぁぁん! 龍成さぁぁん!」
誤解が解けた安堵からか、智は今度は別の意味で大泣きしながらオレを折れんばかりの力で抱きしめてきた。
「よかったぁ……。僕、もう、どうしようかと……っ。僕、子守の練習しなきゃって思って……っ他の人との子供 を、うけ 入れなきゃぁって」
「智……お前、本当にいい子すぎるだろ……」
この純粋で、どこまでも優しいオレの番。
198センチの大きな体を震わせて泣く姿は、どうしようもなく愛おしくて、やっぱりオレの目には、守ってやりたい可愛らしい恋人にしか見えなかった。
肩を丸めて自分の勘違いの恥ずかしさと情けなさで萎れている智の前に、オレは跪いた。
「こほん……智、二年間離れ離れになってて、今回みたいなとんでもない心配をたくさんかけたと思う。智を養うための仕事とはいえ、オレの都合で遠距離恋愛になって、これで愛想を尽かされても仕方がないとは思う。でも、それでもオレは智のことを好き……いや、愛しているから、智と番になるためなら何度でも謝るし、どんな試練にも耐えてみせる!」
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