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ちいさな(※主観)智くんと、オレのプライド防衛戦 33

   黒服さんたちを見渡し、しっかり詰めるように立って隙がないことを確認してから、オレはスーツの内ポケットから小さな箱を取り出した。 「――でも、その試練を受ける際、隣にいて応援してくれると嬉しいんだ」  カパ と開いたベルベットの小箱の中にあるのは、赤い石をあしらった指輪だ。  ルビーのように厳しい赤でもなく、ガーネットのように気品のある赤でもない、透明感のある吸い込まれるような少し甘い赤みをみせるその石は、智に贈るために鉱山まで行って掘り当ててきたものだった。  ルベライトと呼ばれるこの石の石言葉は「愛の絆」だ。  この澄んだ可愛らしい赤色を見て、石言葉を聞いた瞬間、プロポーズの指輪はこれしかない! って思った。 「ぇ……」  箱の中に視線が動いて、赤い光を瞳に反射させた途端、智は小さく震えた。  もっといい男に出会いました とか言われたらどうしようかと、嫌な汗で全身が冷たい。 「…………」  ターミナルの喧騒が、遠くへ消えていくような錯覚に陥った。  オレの差し出した小箱の中で、ルベライトの赤い光が智の瞳に反射し、きらきらと揺れている。 「……智……結婚しよう」  跪いたまま、オレは誠心誠意、全力でその言葉を絞り出した。  三年前、智の父親には認めてもらえず、悔しさをバネに海を渡った。ジャングルの熱気に浮かされながら、何度もこの瞬間のために指先の感覚を研ぎ澄ませ、土を掘り、石を磨いたんだ。    智は、震える両手で口元を覆ったまま、立ち尽くしている。  198センチの彼が、今はまるで迷子の子猫のように頼りなく、小さく見えた。 「龍成 さん……。……それ、僕に……本当に……?」 「智以外に誰がいるんだよ! ……その石、オレが自分で掘り当てたんだ。ン=ザイロくんの親戚に案内してもらって、ボロボロになりながら……。智に似合う、一番綺麗な赤を探したんだ」 「龍成さんが……自分で……っ」  智の瞳から、また新たな大粒の涙が零れ落ちる。  彼はそのまま、オレの前に崩れ落ちるようにして膝をついた。    巨躯の二人がターミナルの真ん中で向かい合って跪くという、黒服さんたちがいなければ大注目間違いなしの奇妙な光景。けれど、智の表情にはもう、不安や卑屈さは微塵も残っていなかった。   「……っううう……僕、……嬉しい……っ、嬉しいです……!!」    智はオレの手を、壊れ物を扱うような繊細さで両手で包み込んだ。  自分よりも一回り大きな掌の温もりが、指先から心臓へと伝わってくる。 「僕、龍成さんのためなら、なんだって我慢できるって思ってました。ニ年間会えなくても、隠し子がいたって……龍成さんが僕のことを忘れていなければ、それでいいって……。でも、……本当は……っ」

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