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ちいさな(※主観)智くんと、オレのプライド防衛戦 34

「……智」 「本当は、寂しくて死にそうだった……っ。龍成さんが向こうで誰かと番になっちゃうんじゃないかって、毎日怖くて……二年前、いってらっしゃいなんて言わずにしがみついて止めればよかったって! 強がって、平気だって虚勢なんて張らなければよかったって!」  智はオレの胸に顔を埋め、子供のように声を上げて泣いた。  その肩の震えを、オレは力強く抱きしめる。 「……オレも、お父さんに認めてもらわなきゃって、意地を張らなければよかったって思ったよ。智みたいな可愛くて魅力的な子が狙われないはずないってわかってたのに」  腕の中にすっぽり とはいかないけれど、抱きしめている智は不安に揺れて華奢で小さく感じる。 「ごめん、智。……寂しい思いをさせて、本当にごめん」    オレは智の背中を力強く抱きしめ、その耳元で誓うように囁いた。 「もう二度と一人にはしない。オレの隣にずっといてくれ、オレと結婚して、番になって欲しい」  智は顔を上げ、涙で濡れた瞳でオレを見つめた。  オレは震える彼の左手を取り、ルベライトの指輪をそっと薬指へと滑り込ませる。ピッケルを振り回して手に入れた赤い宝石は、智の白い肌に驚くほどよく似合っていた。  他人に認めてもらおうとか言うプライドなんて、やっぱりどうでもいい。  この大きな、けれど誰よりも繊細で優しい恋人を、一生かけて甘やかし、守り抜く。  その覚悟が、ルベライトの輝きと共にオレの心に深く刻み込まれた。 「……返事は?」 「っ……はい! 喜んで! ……僕を、龍成さんの番にしてください……っ‼︎」  パチパチ とオレたちを取り囲んでいる黒服さんたちが拍手してくれて、オレたちのことを祝福してくれているのだと思うと、オレの涙腺も緩んでしまう。 「――――あの、ちょっといいでしょうか……」    左から四番目の黒服さん……黒服Dがそろりと水を差してくる。  今が一番感動的で、このままキスの流れだろうと思っていただけに、その雰囲気を壊されてつい睨みつけるような視線を送ると、黒服Dはびくりとした後に申し訳なさそうに無線機を指差した。 「すみません、逐一情報を流すように言われておりましたので、……あの、   」  サングラス越しだってのに、黒服Dが視線を逸らしたのがわかった。  もうそれだけで大それたことをやらかしたっていっているようなものだ。 「あー……旦那様に、龍成さまに隠し子がいるって報告しちゃいました。えへ」  語尾を可愛くすればその罪から逃れられるとでも言いたげだった。オレと智は何か言い合う前にぎゅうっとお互いを抱きしめ合って…… 「り 龍成さんっ」 「ち……智っ」  通信は切られているはずなのに、黒服Dの持っている無線機から暗黒のナニかが溢れ出している気配がする。  重苦しいその気配に…… 「よし! 誤解を解きにいくか!」  オレは二年間鍛え続けた体で智を抱き上げた。  そもそも誤解なのだから、誠心誠意説明すればわかってくれる……はず、だよな? END.

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