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Aria of Echoes 19

 そうすると細い肩から自分の服がずり落ちる。  守りきれなかった首元に、飛んだ油が赤い痕を残しているのが現れて…… 「おい、火傷してんだろ」 「うん?」  きょとんと首を傾げると筋張った細い喉元が顕になったが、凪は白くなめらなかそれがネックガードで半分以上覆われていることに、突き動かされるような衝動に襲われる。  考えるよりも先に伸びた手がネックガードを引っ張り、乱暴に汐音を引き寄せて腕の中へと閉じ込めてしまう。  凪の太い腕の中に閉じ込められてしまうと、汐音は硬い胡桃の殻の中身のようにじっとするしかできなくなる。  汐音は急に抱き寄せられてきょときょとと驚き、反射的に腕から抜け出そうと暴れていたが、凪が髪の間に鼻先を埋めて息を吸い込んだ瞬間、「ぴゃあ」と小さな悲鳴を上げて押し黙ってしまった。  すぅすぅと凪の呼吸が繰り返されると、緊張感が解けたのか汐音はくすぐったそうに身を捩り始める。  細い体が自分の腕の中で小鳥のように動く様子はくすぐったく、それでいてふわふわとこぼれ出す汐音のフェロモンは濃厚で、凪は実家でのことがそれらを頭から追い出していくのを感じた。  生き生きとした、プラスのみで出来上がったような汐音が、腕の中が暑くて苦しいと文句を言い出すまでじっと閉じ込めたままだった。 「ぷはっ……も、どうしたんだよ。甘えっ子なの? 甘えっ子なんだな⁉︎」 「……うん」  いつもの凪だと年下だと思って揶揄っているのか と文句を返してきているところだったが、素直な返事が返ってきて汐音は面食らう。 「ぁ……あー……じゃあ、よしよししてあげようか?」  汐音はわずかに動く肘から先を曲げて凪の腰をポンポンと軽く叩くようにしながら撫でていく。  リズムよく叩かれることによって体が振動でゆすられて……  凪は腕の中の温もりを独り占めしている幸福感に浸りながら、小さな笑いを漏らした。 「元気出た?」 「出た」 「ちょ……どこの元気出してんの!」  その変化に気づいた汐音ははっと体をこわばらせると、途端に腕の中から逃げ出そうと身を捩り始める。 「しょうがないだろ! 汐音の料理してる姿可愛いし、ちっさいし、いい匂いするし……」  腹に当たるゴリ……とした質量に、汐音の顔が目に見えて赤くなっていく。 「だ、だからって、君はすぐこればっかり!」 「それこそしょうがないだろ? オレ、あんたのこと愛してんだよ」 「あ あぃ  」 「愛してる」 「っ!」 「愛しいし、可愛いし、セックスしたいし、番になりたいし、孕ませたい」  飾りのない赤裸々な言葉は誤魔化されることなく汐音の耳に飛び込んでくる。

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