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Aria of Echoes 23
「覚悟しろよ」
男らしく笑う凪に見惚れて、汐音は自分の理性があっけなく砕ける音を聞いた。
どちらの精液がわからない白濁の液に塗れて、シーツに身を横たえる汐音はまるで彫刻のように美しい。
凪は大きな掌を使い、そっと白い肌を撫であげていく。
触れるか、
触れないか、
熱は伝えるくせに感触は届けてくれない、そんな絶妙なフェザータッチに、汐音は甘い声を漏らしながら……それでも逃げることができなかった。
「う ご け……ケホっ」
伸ばした指先は病気ではと思わせるほどに震え、膝の動きもまるで生まれたての子鹿そのものだった。
すべてを吸い尽くされて、あとの抜け殻は拳を握る力一つないようだ。
「だから今、マッサージしてやるから。じっとしてろ」
凪は枕元のペットボトルにストローを刺したものを汐音の口元に運ぶ。
汐音は最初は咥えることも難しそうだったが、歯を使って引き寄せてゴクゴクと水を吸い上げていく。
「ゆ るさ 」
恨みがましい声が漏れるも、目がとろり潤んで目元が赤らんでいるせいか迫力はなかった。
凪はストローを吐き出した汐音をうつ伏せにさせると、ゆっくりと腰を揉んでいく。先ほどのようなフェザータッチではなく、筋肉をほぐすようにしっかりとした手つきで押し込んでいくも、汐音はその刺激に合わせて甘い呻き声をこぼす。
「おい。許さないって言ったの誰だよ」
「んっ……気持ちいいから、ン! 半分だけ許してあげる……」
ぎゅう と尻たぶをこねるように揉まれて、汐音の体は反射的に跳ね上がる。
「ちょ……えっち!」
「やらしい触り方なんてしてないぞ、あんたがそう思うだけだろ?」
そう言い返しつつも、凪の手は尻たぶを左右に広げるようにして動く。
抗議の声をあげる汐音の尻に唇を寄せて、小さく笑いながらカプリと噛み付いた。
「こら!」
「あ、すまん。うまそうで」
叶うなら頸だけでなくここにも歯形をつけてやりたいと思いながら、凪は柔らかな肉を撫で……ふと傷跡で指を止める。
綺麗な肢体だ。
だから余計に、上肢から下肢に向けて走る傷痕が目立つ。
古い傷なのか目立たなくはなっているが、それでも滑らかな肌の中では異質だ。
「大きな怪我だったのか?」
転んで擦りむいた みたいな傷ではなく、裂けたような痛々しい傷跡を癒してやりたくて凪はそこに口づける。
「 あ」
跳ね上がった体が転がるように遠のき、見開かれた両目が怯えるように震えた。
どうした と問おうとした声が喉で蟠り、出ないままに凪の唇が弾き結ばれる。
明らかな怯えの表情に、一歩も踏み込むことができないままそろりと身を引く。
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