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Aria of Echoes 25

 絵だけではなく内容もバース性を織り交ぜていて、子供が最初に触れるバース性の話としても優れている。  幼児が読む絵本とはいえ侮らないで欲しい凪は、汐音に向けて不器用な言葉選びながらも懸命にその本の良さを訴え続けた。 「そこまで緻密な絵なのに全然くどくないし、すごくバランスがいいし、話だって難しい内容なのにスッと入ってくるし、すごく子供のことを考えて描かれたんだってわかるし、それから……えっと、すごくいい本なんだ!」  いつもは大人びて見えて、斜に構えるような部分もある凪の子供っぽい言葉に、汐音は「ぷ」と小さく噴き出す。 「すごくが渋滞してる。好きなんだね」 「ぉ……おう」 「たくさん読んだ跡がある」 「まぁ……でもそれ二冊目なんだ。一冊目はボロボロになったから、しまってある」 「すごい! ガチ勢だ」 「………………まぁ」  呟くように返した後、凪は様子を伺うように汐音の顔を盗み見る。 「んふふ。可愛い」  その姿を見た凪は年上の余裕を見せてにんまりと笑う。つい先程まで凪の腕の中で恥じらいながら息も絶え絶えになっていた様子は微塵もない。 「か、わいいって、なんだよ」 「よーしよし」  汐音は軽い調子て言うと頭を抱え込み、小さな掌で凪の髪を混ぜ返す。  まるで幼い子供にするような行動に、凪はムッと唇を曲げた。 「MANOTO先生はすごい人なんだって! 本当に本当にっ代表作はこれだけど他にもいっぱい賞をもらうような本も出してて、すごいんだって!」 「あーうんうん。一生懸命で可愛い、語彙が『すごい』だけになっちゃうのホント可愛い」  にまにまとした汐音の笑いに凪がへそを曲げたのは二分後のことだった。  絵から離れて全体を見ると、自分の視界がどれだけ狭くなっていたのかがわかり、凪は眉間に深い皺を寄せながらため息を吐いた。 「別に……」  別に、汐音は絵本を笑ったわけではないし、絵本に何か言ったわけでもない。  ただ自分の子供っぽさに対して笑っただけなのに……と、クマのできた目元を抑える。 「これが、年の差なのか」  余裕を持って「子供扱いして」「揶揄うな」って言ってやり返せばよかっただけの話を、拗らせてしまったのは自分だと理解していた。 「いや、それでも……子供扱いされたくなかったんだからしょうがない、だろ」  一回り以上も年上だと知った時は驚きはしたがそれがどうした 程度の感情だった。けれど、ああいった揶揄い方やそれに対する自分の気持ちを考えると、その差は思いの外大きいのだと思い知り、凪はイライラをぶつけるように乱暴に椅子に座った。  

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