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Aria of Echoes 47

 悪態を吐きながらもう一度鍵を差し込もうとしてうまくいかず、ガチャガチャとけたたましい音ばかりが響く。   「————ど、どちら、さま、ですか? 警察呼び……」  凪の立てる音にかき消されてしまうようなか細い声がドアの向こうから響き、凪ははっと手を止めた。  突然ドアを叩かれ、その後鍵を開けようと四苦八苦する音が響けば不審者だと思うのは当然だ。 「しお……汐音!」 「ぁっ……凪⁉︎ よか……いや、よくない! なんで⁉︎ 今日は授業だって言ってたのに!」 「んなことはどうでもいいんだよ! 開けろ!」 「へっ⁉︎」  鋭い返事の後、汐音はしばし沈黙した。 「……鍵、忘れた?」 「あるっ、けどっ……開けられないから」  視線を落とした先の鍵を握った手は震え続けていて、鍵穴に入りそうで入らずにカチカチと小さな音を立て続けている。 「ま、ま、待って」 「待たない」 「ちょっとでいいから!」 「待たないって言った!」 「ちょっと! ほんの少しだけ!」  そう叫ぶ声が遠のいていくことに、凪はゾッとしたものを感じた。  胸の内側がすっぽりと抜け落ちてしまうような虚無感に、がむしゃらにドアノブを引っ張り続ける。腕の中にあったキーケースはとっくにどこかに投げ出されてしまい、鍵を壊さんばかりの勢いで暴れている凪は正気を無くしたように見えた。  ドアが軋む。  強固に思えた板がたわみ、ドアノブが引き抜かれた首のようにずるりと力無く落ちる。 「汐音!」 「わっ ……わっ、ちょ、ちょっと、なんでそんなに怒って……って、ごめんっごめんなさいっ!」  慌てた様子で汐音が駆け戻ってきた気配がし、歪んだドアがゆっくりと開かれて…… 「ごめん……ってばぁ……」  今にも泣き出しそうな汐音を押し込むようにして部屋の中に入った凪は、そこで自分の服をきた汐音と大量の散乱した衣服を見つけることとなった。  蹴散らされた靴下がベッドの下に落ちる。  一瞬だけ、片方を探す羽目になるだろうと心配したが、それもあっという間に霧散してしまう。 「ぁ、あっ……ごめ、ごめ……っ散らかし、て……僕、こ、こんな、ダメな大人で……」  そう言いながらも腕の中の汐音はベッドの上で体を反らしながら絶頂した。  自分の股間を擦るのに使っていた凪の下着が自分の精液で汚れ、匂いが混じり合ってムッとするような臭いになることが嬉しくて、幸せで。 「ぉいっ一人で何してんだよ」 「ぅあ……だ……って、ン、凪っ凪の匂いが濃いから」  押し倒した腕の中で自慰の衝撃でトロンとしている恋人に、凪は怒りにも似た感情を抱いたが、これも先ほど同様、あっと霧散して消えた。  

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