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Aria of Echoes 51

 凪の声は少し力がなく、しょんぼりとしているような響きだ。 「そんなに聞きたくないんなら聞かないから……服はどっちにでも使えそうな服を揃えればいいし」  他になんの問題があるのか凪はさっぱりわからず、他に何かすることあるのか? と呻きながら震える汐音の背中を穏やかに撫で続けた。  市役所で婚姻届を受け取り、証人が必要なことを知らなかった二人はとりあえず証人になってくれそうな人に連絡をとりながらバース性産科の方へ訪れることにした。 「連絡ついた?」 「いや……授業中かな」  待合室のベンチに座りながら、二人して携帯電話を弄り続ける。 「もう僕の方で頼んじゃおうか?」 「や……一人くらいはオレの知り合いに頼みたいんだよ……」  事情説明が大変だろうけれど、いつかは話をしなきゃいけないだろうから と、凪は叔母に電話を入れてみたが忙しいのか出ることはなかった。 「…………っねぇ、市販ので検査してからでも良くなかった?」  汐音は周りを見渡してからこっそりと凪に告げる。  凪はどうして周りを見渡してからそんなことを言うのかわからず、首を傾げて携帯電話から視線を外した。 「なんで? どっちにしろ、病院で診てもらったほうが確実だろ?」 「…………だって、周りに……僕たちくらい歳の離れてる人っていない……君とは一回り違うんだよ? なんか、若い子をたぶらかしてんじゃないかって思われそうで……」 「ぷ。それは被害妄想だろ」  それに「一回り」と言うにはサバを読み過ぎなのを笑う。 「あんた、見た目若いから同い年くらいだと思われてるよ」 「え⁉︎ それはなぁくんが老けてるってこと?」 「そんなこと言ってない」  つん と言い返してやると、汐音は少し緊張の和らいだ笑顔を見せてくれた。  それからしばらくして名前を呼ばれ、一緒に診察室に入るかどうかを尋ねられた凪は「もちろん入る!」と大きな声を上げながら後ろについて回る。  血液検査と尿検査、それからエコー、そして触診の際は凪は診察室の外に出されて、捨てられた犬のような様子になったり……     「おめでとうございます。三ヶ月ですよ」    柔らかな笑顔が印象的な女医者はそういうと、数字のついた円盤をくるくると回しながら「予定日は年末ですね」と笑った。 「……ほら、やっぱオレが言った通り! 赤ちゃんいただろ⁉︎」 「い、いないなんて、言ってないよ」  言い合いを始めた二人を医者は柔らかな表情で眺め、「番契約は終わっていますか?」と尋ねてくる。 「あ……次のヒートで番になろうと思ってて……これって、してないことで子供産むのに不利なこととかあるんですか?」

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