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雪虫6 2

 編み上げたら、遠目には金色の指輪に見える。  金属でもないし、金属よりも柔らかいから雪虫の肌を傷つけることはないだろう。以前、指輪の代わりにショールを止めるピンブローチを贈ったけれど、やっぱり定番の指輪を贈りたいじゃないか!  雪の結晶のピンブローチを、雪虫は毎日使ってくれているけれど、それとこれとは別だ。 「えー……いいなぁ」 「練習に作った編みぐるみなら、持ってくか?」 「人形はいらない」  一瞬で拒否されて、オレは肩をすくめるしかない。  雪虫とうたと若葉に渡した時は喜んでくれただけに、なんとなく突き放された気分だ。 「難しい?」 「うんにゃ」 「オレもできるかな?」  傍の椅子を引いて座ると、セキはテーブルの上の試作品を指先でいじる。  見ていただけの時ほど難しくはなかったけれど、できるできないかはー……個人差だろう。セキは手先が不器用ってわけでもないし………… 「っ…………お前、何やってきたんだ?」  今日は大神の仕事の関係でずっと研究所だー! と朝にぼやいていたのを覚えている。雪虫とヒソヒソと何やら話していたのは見ていたけれど、そのあとは何をしていたか知らない。  でも、オレの鼻はちゃんとナニかを感じ取ってひくりと反応していた。 「なんでそんな臭いことになってんの⁉︎」  思わず身を引くと、セキはちょっとショックを受けたようだった。自分の服を引っ張ってクンクンと臭いを嗅ぎ…… 「え? そんなに臭う?」 「臭うっていうか……不愉快」  バッサリ切り捨てると、セキはちょっと気まずそうだ。 「ぁー……なんの臭いだと思う?」 「なんか……ぅーん……便所臭いアルファの臭い?」 「便所ー⁉︎」  びっくりしているけれど、その表現がしっくりくる。  人工的でキツい臭い芳香剤の臭いと同じだ。 「え……えぇ? そんなに変?」 「変っていうか……困惑する? お前どうしちゃったの? 的な?」  これならまだ、激混み電車でαの臭いがついちゃいましたって言った方がマシなレベル。 「えぇ……これ、フェロモン香水なんだけど……だめ?」 「下痢で便所にこもってたのかなって思う程度にはダメ」 「他のアルファの臭いがして、ジェラシー! みたいなのは?」 「ない」  なんとなく話が見えてきたから、オレは指輪を編む手を止める。  セキはまた大神にジェラシーを燃やして欲しくて試行錯誤しているんだろう。以前も大神を虜にするんだって暴走して、怒られていたはずなんだけど……  それに、それで嫉妬するくらいなら、他のヤクザどもにセキを触らせたりしないだろう。

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