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雪虫6 6

 狙われて、軟禁さてれ……今も窮屈な生活を送っている雪虫に、少しでも自由を与えてやりたいって思うのは、オレのエゴなんだろうけどさ。 「あの臭いはー……」  正直、この研究所でのαの扱いは徹底されている。  どれくらい徹底されているかというと、瀬能の助手って肩書きのあるオレですら番がここに住んでいるってことが前提で、経皮タイプの抑制剤の着用と、身体情報の取得ができるタグを常につけるように義務付けられてやっと出入りできている。  ちょっとでも関係のない区画への侵入や異常な心拍が見つかれば、速攻で警備員達に摘み出される仕様だ。  そんな状態で、セキュリティの高いシェルター区画のここにαが忍び込んで、生体認証が必要なこの部屋に入って雪虫に接触して……なんて考えられない。  これだけ濃くフェロモンを残す前に、研究所内でとんでもない騒動が起きているはずだ。  なので……それを承知で、オレは……どう答えたらいい? 「雪虫に、オレ以外の臭いがついてるの、嫌なんだけど」  直江には正直すぎるって言われている表情を懸命に作って、精一杯やきもち焼いた顔を作る。  ちょっと唇を突き出して機嫌悪そうにしてみせると、雪虫はくすぐったそうに満面の笑みを作って笑う。  それだけでパァッと後光が差して、何もかもどうでも良くなっちゃうって雪虫はわかってるんだろうか? 慣れない表情も、先のことでイラついていた心も全部ぜーんぶ、綺麗さっぱり浄化されて、やっぱり土下座して崇めたくなる。 「だから、もうよそのアルファに近づかないで。……ん……オレ、雪虫のこと、あ、愛してるから、よそのアルファの臭いがするの嫌だ」  言葉にするにはするけど、やっぱり照れくさくてどもってしまったオレに、雪虫はにこにこと笑いかけてくれて…… 「だから、匂いの上書きしたいからぎゅってしたい」 「んふふ」  いつもならいいよーってすぐ言ってくれるのに、今日はイタズラっぽく笑うだけだ。 「……ぎゅってさせてください」  懇願するけれど返事はやっぱり笑い声。  きっと、返事を無視して抱きついても雪虫は怒らないし、なんら問題はないんだろうけど、オレが嫌だ。  雪虫のことは雪虫に主導権があって、雪虫が決めるべきだ。だから、どんなに抱きつきたくてもじっと我慢…… 「…………駄目?」 「んふふ、ダメじゃないよ?」  ちょっと問いかけるようにして許可をくれるあたりが「いけず」だ。  でもそれに腹が立たないし、むしろ「ヨシ!」と言ってもらえたことにオレは尻尾を振って喜ぶしかない。

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