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雪虫6 11
番として雪虫の一番近くにいると言ってもおかしくない立場だけれど、オレに渡された雪虫の情報は驚くほど少ない。
別に雪虫に何があろうと、オレは離れる気も嫌いになることも絶対にないって言うのに。
直江は大神の側近で、瀬能とも多くやり取りをしてて、オレよりも以前に雪虫に出会っている。
「直江さんなら知ってるでしょ?」
こそこそ探り回ったって、大神たちが情報をその辺に転がしているとは思えない。それなら、真正面から聞くしかないけど……
「君が知ってる以上のことを、俺は知らないからなぁ」
ふぅ とため息混じりに言われた言葉を嘘だと感じたのは、視線がオレの方を向かなかったからだ。
人は嘘を吐く時には右上に視線が動くって聞いたことがあるし、逸らすのは嘘を吐いて気まずいからだ と教えられた。もちろん、それを前提に無意識の行動に見せかけて嘘を吐くこともできるけど……けど……?
「言って、俺も下っ端だしね。研究とか突っ込んだ話になると俺は蚊帳の外になっちゃうから」
苦笑しながらオレを見下ろす直江には……後ろぐらそうな部分はどこもなくて、本当に知らないのかなって心がぐらつく。
「番のことだから知ってたいよね」
「……はい」
「うん、それが普通だし当然だと思う。……そう言えば知ってた? ここの資料保管庫」
「北の資料保管庫ですか? はい、知ってますよ」
瀬能から言われて、何度使わなくなった資料を運び込まされたかわからない。
埃っぽくて紙の臭いがして……
「! そこに雪虫の資料があったりするんですか⁉︎」
「ないよ」
そこはっっ! あるって流れじゃないのか⁉︎
「そこじゃない。電子カルテのバックアップが収められている保管庫のことだよ」
「電子……カルテ?」
いつも瀬能がダカダカダカって打ち込んでいるデータの? 紙の資料には触らせてもらっているけれど、電子カルテ……というか瀬能の使うパソコンやタブレット類には絶対に触らないように注意を受けている。
「『特に』君は触っちゃダメだからね」と。
「雪虫は保護した状況が他のオメガたちと全く違うし、極秘扱いになってるから情報があるとしたらそこだと思うよ」
「他のオメガと違ったんですか?」
ずっと、人身売買の組織から助け出されたのだと思っていたけれど、もしかしてその前提が違う?
「ど……どうやって、ここに来たんですか?」
ましてや、極秘扱いになるなんて普通じゃない。
「あー……ごめん。そこまでは。俺がわかってるのは、雪虫は特別で、電子カルテの中に雪虫の情報が入れられてるってことかな」
瀬能が教えてくれない以上、電子カルテのバックアップを覗くしかないんだろうか?
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