335 / 354
雪虫6 12
「…………でも、そんなの手に入れても、どうやって見たらいいのか……」
保管って聞くと、ファイルに入れて棚に並んでいるイメージしかないオレにとって、電子カルテの保管がどうなっているのか想像すらできない。
パソコンの扱いをろくに知らないオレが中を覗けるものなんだろうか?
うーんと唸るオレに、直江は苦笑をこぼす。
「そんなに悩むもの?」
「まぁ……パソコンの扱いなんてわかんないですし。そもそもこっそり見られるものなのかなって」
「でも、真正面から尋ねても、瀬能先生は許可を出してくれないだろうね」
直江も一緒にうーんと唸ってくれるから、なんとなく嬉しくなる。
大神はそもそも話なんて聞いてくれないし、瀬能は話は聞いてくれるけれどどこかしっかりと線を引かれているような感覚がある。セキやうたとだときっと同じ目線でしか考えることができなくて、こんなふうに自分と一緒に悩みながらも行く道を示してくれる大人は珍しい。
「直江さんはパソコン使えますか?」
「もちろん」
直江にパソコンの使い方を教わる? もしくは直江に調べてもらう?
どちらにしても直江頼みの他力本願すぎる。
「…………」
何より、雪虫のデータをオレ以外の人間に見てきてくださいっていうのもなんかやだ。
「俺が調べてきてもいいんだけど、君より先に番のことを知られるのって嫌だろ?」
「なんでわかるんですか⁉︎」
苦笑を続けたままの直江に食いつくようにいうと、微かだった笑いが盛大な吹き出しに変わる。
オレの考えが読まれていたというか、単純な人間と思われたようでちょっと唇を尖らせるけれど、直江には効果がないようだった。
「どうしたらいいんだか……」
ここはやっぱり正攻法で瀬能に聞くべきだ! とは思う。オレは雪虫の正式な番なんだし、その権利は十分にある!
「…………オレがこっそり持ち出したら?」
ポツ と言った言葉に、直江の瞳が震えた。
「持ってきたら、オレが見れるようにしてくれますか?」
「……よくないことだよ?」
「それはわかってますけど……」
でも、番のことだと思うと止まれないのがαだ。
「少し時間がかかるかもしれないけど、先生に頼み込んでみるのが一番だと思うけど?」
それはそうだ。
事前に見るなって言われてることなんだから、それを無視して見ようとするのはいいことじゃない。わかってる。わかってる。
「わかってる……けど」
雪虫のことを少しでも知りたいし、欠片も逃したくないと本能とかなんかその辺が訴えているから。
ともだちにシェアしよう!

