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雪虫6 14
扉の前で腕を組み、どう考えてもオレの手に負えないってことを痛感して……諦めて帰ろうとしたところでお縄になって……
「オレっなんもしてないんですけど!」
連れて行かれながら、瀬能に向けて叫んでみせるけれど……「犯罪者はみんなそう言うんだよね」みたいな軽口は返ってはこなかった。
それだけ瀬能が本気なんだと理解した時には血の気が下がって指先が冷たくなっていた。その後は狭い個室に連れて行かれて、ドラマの中でしか見たことがないような取り調べを受けて、オレはただただ呆然とするばかりだ。
オレは繰り返しされる同じ質問に何度も答えて、そのたびに冷ややかな目で見下ろされて……
「だから、番の情報を見たかっただけなんです。番を持っているアルファなら、絶対にそう思うと思います! そんな変な話じゃないです!」
何度目になるかわからない説明も、相手に届いているのか届いていないのか。
時間の経過もわからない、見知らぬまま高圧的に尋ねかけてくる大人相手にただただ答え続ける。
この質問はさっきしなかったか?
また同じことを尋ねられた?
きちんと返事をしているはずなのに、その答えじゃ満足しなかったのかまた再び同じことを尋ねられて、オレの頭はぐるぐると回りだす。
「監視カメラを見てもらったらわかります! オレは扉に触れてもいない!」
研究所は至る所に監視カメラが設置されている。もちろんそれは、データの保管庫の前の廊下も例外じゃないはずだ。
「それで? 君はなぜあそこに?」
「————っだから! 番の雪虫のデータを見たかったんです! 自分の番のことを知りたいと思うことがそれほどおかしいことですか⁉︎」
「君は、自分の番なのにわざわざデータを盗まないといけないのか?」
鋭い切長な目に睨まれて背筋が伸びる。
大神のそれとはまた違う、さまざまな犯罪者と渡り合ってきた経験による重厚な光を宿した瞳は、やましいことなどないはずの心に罪を芽生えさせようとするような力があった。
「君は、どうして保管庫に?」
「雪虫のことがもっともっと知りたかったから! それ以外に何もない! 他のことなんてどうでもいい! オレが知りたくて、望んでいるのは雪虫のこと以外にないんだから!」
「じゃあ、どうしてあそこが保管庫だと?」
繰り返しの質問にキレるように叫んだ瞬間、相手は今までと違った質問をした。
「ぁ……え? だって、みんなが知ってることじゃないですか。直江さんだって知ってたし……」
「直江?」
相手が言葉を繰り返した瞬間、どうしてオレは頷いてしまったんだろうか?
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