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雪虫6 15

 けれどオレの中にある事実はそれだけだったから、そうするしかなかった。  オレが解放されたのはそれから随分時間が経ってからで、結局あの取り調べはなんだったのか、保管庫に触れていないと言うことは証明されたのか、詳しいことは何も教えてはもらえないままだ。  取り調べを受けていたのは研究所の一角だとばかり思っていたのだけれど、外に放り出された時に振り返ったらそこには警察署と書かれた文字が見えた。 「え……ガチの取り調べだった……?」  ゾッとなって慌てて携帯電話を取り出す。  兎にも角にも瀬能に連絡を取らなくては……釈放されたってことは、オレが何もしていないってわかったってことだろうし。オレは何もしていないんだって、きちんと瀬能に説明しておかないといけない。  けれど……電話は繋がらないまま、呼び出し音が繰り返されるばかりだ。  幾どめか掛け直した時、とうとう「電話をお繋ぎすることができません」と機械音声が答えた。 「…………は? どう言うこと?」  忙しかった? それなら出なければ済むことで……オレは瀬能に着信拒否されたんだってわかった。  今までどんなに悪態を吐こうとも、年長者らしく呑気にゆったりと受け止めてくれていたと言うのに。 「…………保管庫の前に立つのが、そんな大ごとなのか?」  扉に触れもしなかった。  前を通りかかったことなら何度だってある場所だ。ただその時はそこがデータの保管庫だと知らなかったと言うだけで。 「っ……くそ! うたっうた……出てくれ!」  オレの携帯電話の中の登録番号は驚くほど少ない。  その中で、この状況を知っていそうなのはオレのように瀬能の助手をすることもあるうただけだ。 『————なに』  その少し不機嫌そうな声で、今が電話には相応しくない時間だって知る。  マナーとか、そういったことに構っていられる余裕もなくて、ごめんって言う前に「何か聞いてないか⁉︎」と大声を出した。 『…………すごい騒ぎになってる。あれは…………あなたなの?』  声音はいつもよりも低く、少し掠れて……もしかしたら眠っていたのかもしれない。そこでやっとオレは、うたに申し訳ないことをしたって感じ始めた。 『私も瀬能先生からは詳しくは聞いてないの。データ保管庫に侵入した者がいて、一人の情報を持ち出したって』 「は⁉︎ オレはそんなことしてない!」 『…………でも、持ち出されてしまったって』  うたの声に抑揚はなく、オレを騙そうとしているわけではないことを教えてくる。 「誰の情報が持ち出されたんだ……? もしかして雪虫の⁉︎」 『違うわよ』

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