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雪虫6 24
「っっっ! すっみませんでしたーーーー!」
ズシャッて音がしそうなほどの勢いで土下座してみるけれど、瀬能からの言葉はない。
崇めるようにずっと頭を下げ続けて……反応がないからそろりと顔をあげる。前回のように目の前が空っぽ……ってことはなかったけれど、視線はオレには向いてなかった。
「あれ?」
「ん? あ、君。何してるの」
「なに……って、ナニしたので謝罪を」
瀬能はタブレットと天井の角を交互に見比べてから、思い出したようにオレを見た。
「ああそうだ。君、とんでもないことをしたね」
「オレは何もしてませんよ!」
廊下で立ち止まったのが何かしたってことなら、今だって十分大事件だ。
「………………あ、君じゃなかったんだ」
そう返して瀬能は再びタブレットを叩き始める。
なんだ? とうとうボケたのか? って思い始めた頃、瀬能が片眉を上げてオレを見た。
「君今、失礼なこと考えてるね」
「あっいえっそんなことっ」
「はぁ、とにかく、今日はじっとしていてくれないか?」
そう言いつつも手は忙しそうに動いている。
いつも、いつ休んでいるのかわからないくらい働いている瀬能だったけれど、寸暇を惜しんで動いているのは珍しい。
「き、昨日のことですか?」
「…………あれ? 誰から聞いたの?」
「うたが。オレが問い詰めたらしぶしぶ教えてくれました」
どうせ、タグをチェックすればオレとうたが接触してたことはバレるんだ。
だからオレにできることはふわっと庇うことぐらいで……
「ああ、うたくんは出歩けるからか」
「? どういうことです?」
そこでやっと瀬能は手を止めて、首をほぐすように左右に回す。
「管理システムの総点検と見直しでオメガたちは今日、部屋から出れないんだ。君のタグも追跡以外は機能してないから、オイタするんじゃないよ」
「あ? はっはい! ……え⁉︎ タグ、使えないんですか⁉︎」
飛び上がりながら聞いたオレに、瀬能は不審そうな視線を向ける。その頭の中の考えを見透かすような視線から逃げたくて、思わずトートバッグを背中に寄せた。
「君がどこにどれだけいたかはわかるよ」
「ぅ……雪虫のとこに……いました」
「それで?」
「それだけです!」というにはあまりにもオレは正直すぎた。……というか、トートバッグを隠そうとした段階でもう、全部ばれたんだと思う。
「最後まではしてないです! 全部パンツん中で出しましたっ……」
叫んだオレの隣を、可哀想なものでも見る目で研究員が通り過ぎる。
「ぅ……」
研究員の、ちら と最後に残された視線は哀れみを含んだもので……オレは、どうすればよかったんだろうか。
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