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雪虫6 25

「その……雪虫に、オレの精液は触れてないです」  もご と言うと、瀬能はしばらくオレのトートバッグに視線をやり……ため息と共に目を閉じる。  そこでやっと胸を撫で下ろしたオレは、そろりと監視カメラがあるらしき方向へと視線を向けた。  今は監視カメラは機能しているんだろうか? タグの機能が制限されていると言っていたから、もしかしたら幾つかのカメラは機能していないかもしれない。 「…………」 「今度、ちょっとでもデータを見ようとしたら、君、出禁ね」 「うっ……ナニも考えてないですっ…………見ちゃ、ダメなんですか?」 「そりゃダメだよ〜君、下っ端だし」  バッサリと切り捨てるように言われて肩を落とすしかない。  もっとも、瀬能のところへはこの敏感な鼻を買われて雇ってもらったってだけで、勉強ができるとか、Ω研究に携わっていたとかそんなの何もないズブの素人だ。この研究所で雑用をさせてもらえてるだけでも奇跡なんだってわかっているけれど、この扱いは役立たずと言われた気分になって落ち込んでしまう。 「オレ……見れないんですか? 雪虫のデータ」 「…………」  瀬能がどう返事をしてくれるのかと息を殺して待っているけれど、瀬能からは何のアクションもない。 「先生?」 「あ、なんて?」  瀬能はタブレットと睨み合っている。 「…………なんでもありません」  これがポーズかどうかはオレにはわからない。  瀬能の表情も行動も、それがそのままだとは思えない。だからと言って穿った見方をできるというわけでもなくて、「見ることができない」って以前に結果が出たことに関して、繰り返し話題に登らせるのはいい行動じゃないと痛感する。 「とりあえず、オメガ達は明日の昼過ぎには出してあげられると思うから」 「昼過ぎですね」 「伸びる場合もあるからね。期待しないように」  そういうと瀬能はまた少し進んでタブレットを睨みながらキョロキョロしている。 「……こういうのって、専門の業者がいるもんじゃないんですか?」 「まぁ。でも今回は急で、いい候補がいなかったんだよ。僕も見直しできてよかったし……まぁ、騒ぎが起きてよかったよね」  よかった?  データを盗まれて? 「直江さんは、データを戻したんですか?」 「…………それも、うたくんが?」  思わず言葉に詰まりそうになる。ゆきずりのよく知らない研究員が! って言ってもよかったけれど、オレがうた以外と接触していないのは確認されるとすぐにバレてしまう。 「はい。盗んだのが誰か……気になって」 「うたくんは君に甘すぎじゃないか?」

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