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雪虫6 26
そんなわけない。
いつもいつもつっけんどんにものを言われるし、研究所のΩたちに接する態度とオレへの態度は天と地ほども差がある。
友達や友人という括りで決めるなら、うたとオレは友人の方だ。親しいけれどちょっと距離がある……みたいな?
「オレが知っちゃ、よくないことでしたか?」
「まぁ隠しててもそのうちバレるだろうし、いいけど。いいけどー……いいんだけどー……」
その語尾はよくないんだろう。
「ちょっと休憩がてら部屋に戻ろうか」
そこでやっと瀬能がこちらを見た気がしたけれど、その目はどこか陰鬱だった。
「この研究所は第三セクター……官民連携で成り立っている施設なんだよ。つまり、国からの支援もあるし、企業からの支援もある、両方から出資を受けての『Omega Dynamics-Inhibitor BirthLife Sciences Labs』だ」
「は……はい」
改められてこの研究所の成り立ちを説かれて、ただの休憩だとは思わなかったけれど、かなり込み入った話になるんだと唾を喉に押し込む。
「民のためを思っての設立とされてはいるが、政府関係者や企業のトップの方々、つまり出資したアルファの方々の問題を解決せねばならないという側面もある。そのためにここのデータにはこの国だけじゃなく、他の国の重要ポストに着かれているアルファやオメガの情報も集められているんだ」
「あ……」
「そんな研究所でデータの流出騒ぎが起こったらどうかな?」
瀬能は青くなり始めたオレを慮ってか、空気を軽くするように語尾を柔らかくした。
「信用を……無くします」
「うん。自分のデータを流出させられたら、今後、それでどんなトラップを仕掛けられるかわからないからね。遺伝子情報だったら、それを解析して相性のいいオメガをハニートラップに連れてくることも可能なんだから。そんなことをされて、重要な情報を漏らしてしまったらどうなる?」
「…………研究所の立場が弱くなって……」
「それで?」
「研究所が続けられなくなる かも」
あえて軽い口調を選んだのは、自分が安易に考えていたことが思っていたよりも重い結果を招くのだと、言われてしまったからだ。
この研究所はシェルターも兼ねている。保護されたΩたちのコミュニケーションの場ともなっている。
そして、一番大事な、抑制剤の研究。
それらがすべて頓挫するということだ。
オレがしようとしたことは、そんな未来を引き起こす可能性があったということで……そうなったら、雪虫は? ここを出て、安全に暮らしていけるのか?
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