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雪虫6 30

「でも、のこってくれたら、うなじかませてあげてもいいよ?」  上目遣いのまま、金糸のような髪をかきあげる雪虫。  白く芳しい匂いを放つそこにはもうすでにオレの歯形があるけれど、αなら番のうなじは何度だって噛みたくなるもんだ!  ぎりり……と奥歯が音を立てる。  セキはこんなことまで雪虫に教え込んでるのかと、腹立たしいのと同時に拍手をしてやりたくもあって……複雑な感情がせめぎ合うから、オレの奥歯はますます音を立てる。 「か……か……噛み……」  噛みたいです! と最後まで言わないことを堪えるのに、とんでもない力が必要だった。   以前に、今は大丈夫だからエッチなことをしようと誘われた時を思い出して、センサーが効かないならちょっと……もうちょっとだけ、しっかり触っておけば良かったと後悔しながら、歯をギリギリさせて身を離す。  ………………そういえば、雪虫はあの時、どうしてエッチしても大丈夫と言ったんだろうか? 「かぷってしてみる?」    ああでも……今も可愛いけれど、あの時の雪虫もかわいか…… 「ゆっきむしーーーー!」  ノックもチャイムもないまま、勢いよく開いた扉がけたたましい音を立てて開かれる。大声と共に部屋に飛び込んできたのは、酔っ払いのように頭にネクタイを巻いたセキだった。 「あれ? あ、あー……ごめん、取り込み中だよね。出直すから……」  オレはしがみつきかけた手を止めて、何事もなかったように身を起こすが……足元にぽたりと赤いものを落としてしまった。  ティッシュが赤く染まらなくなって、雪虫がホッと胸を撫で下ろす。  最近はなかったけれど、セキと大神のことで散々殴られて鼻血を流しすぎたせいか、ちょっと興奮するとそのたびごとに鼻血を出す体質が復活してしまっていた。 「ってか、セキはなんでそんな格好で飛び込んでくるわけ?」  セキを改めてみると、その額に巻かれたネクタイの異質さは無視することができないほどだった。  そこまで存在を主張されてしまうと、一応……一応、聞いておかなくてはならないかなって思ってしまったから、念のために聞くだけだ。 「これ? これねぇ。大神さんからひっぺがしてきたネクタイ!」 「はい、いらない情報だった」 「ひどい!」 「予想ついてたからいいよもう。お引き取りください」 「なんでーーー⁉︎」 「どうせ雪虫に、愛されてるって感じたいから服をちょうだい とか言わせるきなんだろ? おら持ってけドロボーーーーー!」  流れるようにオレは上着を脱ぐと雪虫に差し出す。

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