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雪虫6 39

「お前が余計なことをしたからだろう」 「よけ……いなことは、しましたけど。でもだからって番に会いにいくチャンスを奪われるのは  っ!」  どすん! と勢いよく放り込まれたのは大神の車だ。  咄嗟に運転席を見ると、見たことのない……ちょっと柄の悪そうな男がハンドルを握っている。  いつもなら直江がちょっとちゃめっけを含んだような表情で振り返って挨拶してくれるのに…… 「直江さんのとこに行くのか?」 「他にどこがある」  隣に乗り込んだ大神は不機嫌そうに一言だけ言うと、ふいと窓の外に視線をやってしまう。それはオレと話をする気はないと言っているも同然だった。  その態度だけで、大神がオレを連れていくのが不本意なのだとわかる。それを押し通してしまえる彼女の顔を思い出しながら、「直江さんはどこに?」と口に出す。  運転手がルームミラー越しに空気を読め! と言っているような気がしたが、それをあえて見ないふりをした。 「宿泊施設だ」  返事が返って来るとは思ってなくて、目を丸くしながらコクコクと素直に頷く。  宿泊施設だなんて随分と含みのある言い回しだったけれど、どの宿泊施設だ? ホテルもそうだし、大きくみれば留置所だって宿泊施設だろう。もしくは他に意味がるような隠語だったりするんだろうか。  もしかして、大きい意味すぎて墓の下なんてことは……  恐ろしい考えに行きつきそうで、大慌てで首を振る。  オレは他にどんな宿泊施設があるだろうと考えながら、大神とは反対側の窓へと視線を向けた。  色々考えていたオレがバカだとでも言いたげに、車は結局普通のホテルの地下駐車場へと滑り込んだ。  瀬能に連れて行かれたような高級なホテルではないけれど、安っぽいホテルではなく、降りた先では馴染みの黒服を着た人が待ち構えて大神に向かって頭を下げていた。  視線をチラリとこちらにやっただけで、「ついてこい」とも言わないで歩き出した大神の後を追いかけ、ホテルの廊下を歩いていく。  カーペットの敷かれた廊下は足音を吸収するから、気まずくなるほどの沈黙に押しつぶされてしまいそうだった。 「入れ」  目指す部屋はすぐにわかった。  ドアの前に二人の黒服が待機していて、いかにもな光景だったからだ。オレは大神をチラリと振り返ってから、覚悟を決めてドアを押し開ける。  カタン って小さな音と人の動く気配がして、立ち上がる影が光を遮った。  狭い部屋は見渡す必要もなく、遮るものもないから直江をすぐに見ることができた。 「な、直江さん」  オレの言葉に、ちょっと意外そうな顔をした直江の顔は青いアザに覆われたものだった。

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