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雪虫6 80
「……それより、電話してくるなんて……雪虫に何かあったのか⁉」
きつい口調で問いかけたせいでセキは再び沈黙して……
「……ごめん、雪虫に会えなくてイライラしてる」
開き直ることもできたんだろうけど、オレは素直に自分の状況を伝えることにした。セキは雪虫と一番仲のいい友達だし、雪虫を託せる数少ない相手だし、何よりオレたちのことを真摯に心配してくれたから。
ちょっとアレな部分はあるけれど、それでも大事な友人だとオレは思っている。
「ん。俺も大神さんに会えなくてイライラしてたから、別に……」
「ああ」
直江の代わりに大神の傍につくようになって、大神は以前ほど研究所を訪れてはいない。
オレがいるからかとも思ったけれど、それを抜きにしてもあちらこちらへと、まさに寸暇を惜しむように働き通しだった。
「大神さん、忙し?」
「うん、オレから見ても忙しそう」
少し心細げな言葉の裏にあるのは、「他のオメガに会ってない?」だと思う。
24時間という限りある中で、自分に割かれていた時間に誰か他の人間に会いに行っているんじゃないかって、不安になっているようだった。
「おっさんって寝なくても平気なの?」
「ええー……もう、また無茶してる。俺が寝かしつけないとホント寝ないんだよ!」
困ったな、でも自分がいないとダメなんだな って雰囲気を滲ませるセキは、照れくさそうに言うと「それで 」と本題を切り出す。
「うたが体調崩しちゃって」
ここで、じゃあ雪虫は大丈夫なのか? って聞くほどオレは人でなしじゃない。気にはなったけど、先にうたの容態を尋ねると歯切れの悪い言葉が返ってくる。
「大丈夫だと思うんだけど……」
「? どう言うこと?」
「研究所の隣の病院に入院してるらしくて、俺じゃ見舞いにもいけないからよくわからない。今はちょっと……外に出られなくて」
「そうだな」と答えることができなくて、適当な相槌でごまかす。
別に意識して覚えてるわけじゃなかったけれど、周期的に雪虫と近いからしかたない。もうすぐ発情期がくるから、セキは研究所から出られないってわけだ。
「先生は?」
「それが見かけなくて」
「?」
そんなはずがない。
大神も大概だが瀬能も瀬能でワーカホリックで、家に帰っているのかすら怪しい人なのに……研究所で暮らしているセキが見かけないとなるとよっぽどの話だ。
「だから、詳しいことも聞けなくて、うたの症状もわかんないんだ。みなわさんが手伝ってくれてるけど……どうしよっか……」
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