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雪虫6 81

 もうすぐ発情期が来た場合、雪虫の面倒を見るどころの話じゃなくなるのはわかる。  相談したいのに瀬能は捕まらず、うたは体調を崩して……みなわも研究所で働いている以上、雪虫のことを頼むのは難しいだろう。  他に……と言っても、心当たりがなかった。  一時よりも雪虫の世界は広まったとは言ってもセキやうたのように心を開いている相手はおらず、頼めたとしても雪虫自身の心労の方が心配だった。 「……参ったな」 「うん。大神さん経由で瀬能先生に連絡取れるか聞いてみてくれないかな? あと、できたらーでいいんだけど、次はいつ来てくれるのか聞いて! 絶対聞いて!」 「できたらじゃなかったのかよ」  一瞬で翻る言葉に苦笑していると、ビニール袋を提げた藪秋がのそのそと部屋へと入ってくる。  たぶん、このまま電話を続けても藪秋は気にしないだろうけど、セキに仕事だからと告げて通話を終えた。 「んだよ、話してればいいだろ。それとも人前でできないような話をする気だったのか?」  下世話なふうににやつく藪秋はオレのことをからかいたくて仕方がないらしい。  瀬能といい藪秋といい、性格が悪いと言わざるを得ないと思う。 「いえ、話をしていたのは雪虫じゃないんで、長く話す必要もなかったんで」 「あ?」 「セキは、わかりますか?」  大神の囲っているΩとして認識はしているかもしれないけれど、名前を知っているかどうかはわからなかった。  そろりと尋ねたオレに、藪秋は険しい顔をむけて「あ?」ともう一度低く声を出す。 「え? えっと……」 「お前、社長のイロに手を出そうとか思ってんじゃねぇだろうな」 「ちがっなんでそんな話になるんですか! オレは雪虫一筋だし、セキにはなんの興味もないですよ!」  間髪入れずに言い返したオレに、藪秋は疑わしい目を向ける。 「本当ですって!」 「じゃあなんで連絡なんかとってんだ」 「友達……だからですけど……」 「はぁ⁉」 「はぁって言われても、友達なのは友達だし……あ、あと、オレの番の面倒をみてもらってるんで、その報告とかの話をしただけです」  オレには雪虫がいるし、セキにはべったりと大神のマーキングがついてるからってだけじゃなく、セキの匂いはなんというか……オレの好みにかすりもしない。  瀬能曰く、魅力的に感じるフェロモンはそれだけ遺伝子が離れているんだとかなんとか。  本能的にそういう相手から除外される存在なんだろうなって感じだ。だから、正直に言ってしまえばセキとどうこうという話をされても困惑してしまうだけで…… 「同じとこで暮らしてて、雪虫とセキは仲がいいんです」  そこまで言って、ようやく藪秋は睨むのをやめてくれた。    

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