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-天界・エデンの園
『そんな風に願う天使が居るとは思わなかったわ…』
ルシファー、何時か願いが叶った時、貴方は、心に一縷の涙を流すのかしら。
冷めた声音が、雨の中に消えていく。
少女は、二人を一瞥した後、姿を消した。
決して…。
誰にも、聞こえない声が、囁いた意味を知るのは、まだ、先だった。
一人の尊き命を喪った神々は、喪に付く者も少なかった。
幼き少年の母親は、誰もが敬う程、清く、勇敢な戦士だったと言える。それは、神王も心から、誇らしく思える程に、彼女は、立派に全うしたのだ。
魔族との闘いが絶えない時代に、自ら、人間を守った大天使。
それが、次期ミカエルの母親。
ザァーザァーと、降る雨音が次第に強くなる。
エデンの園に、一つの画が出来ていた。
少年を護ると決めた青年と、雨の雫に当たりながら、泣きじゃくる幼き天使。
-…有名な絵画みたいな感じがした。
例えるなら、悲しみに満ちながらも、希望を忘れない二人の男。
情緒的な顔をする少年は、美しが故に、無垢である。
藍色の髪から雫が垂れ落ちる青年は、中性的な顔が、妙な色気を出していた。
言うなれば、次期ウリエルと正反対と言える。
従兄弟同士だからだろうか。
心身に、理解出来てしまうのは。
気付く人は気付くのかも知れない。
二人の関係は、短い時間では語れない程、長いのだと。
一見、雰囲気は、違えど、やはり、何処か。
しかし、それを知るのは主しか居ない。
「ミカエル」
「ルシファー、有難う御座います…」
やっと、出てきた言葉が、お礼だった。
それを聞き取っていたサリエルは、口を抑えた。
あれだけ、熱烈な告白をしたルシファーの面目が立たない。全然、気付いて貰えてない事実に、迎えに来た彼は、ツボりそうだった。
生現場を見ていたサリエルからしたら、どの、タイミングで、傘を渡そうか伺っていた訳であり、其処に、ミカエルの感謝の言葉。
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