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毒の匂いが独特だったのか。
それとも、怪しいと、踏んでいたのかは定かではないが、お互いに譲る事をしない心を持っていた。引くというのは恥な気がしたから、当時は、策を練ったのを覚えている。
そもそも。
誕生日に殺そうなんて。
食べたのは、瞳に映る男だ。
解毒剤を調合して、生き返った。
『それにしても、アルザリ卿が…気にするとは…』
「長年の恨みは、早々に消えないでしょう。現神王は、彼にとって敵よ」
抜け目ない判断。
其処を買っている上層部も少なくない。
現代翁ですら、頭が上がらない者も居るのだから、彼の実力。
『根暗神王に飲ませたいくらいですね。姫…』
「嫌っている男の爪の垢を煎じたモノを飲むかしら。爪が長いお方ですもの」
『少しは、イカれた頭も良くなるんじゃないですかと思っただけです…』
実に楽しそうに話す彼は、解っているだろうか。クラエルという男は用心深く、紳士の様に振る舞っている嫉妬深い神だという事実を。
魔族の、しかも貴族の最高峰『ティーベル』の主である男の煎じたモノを飲む筈がない。
あの、根暗な性格で、他人を人とも思わない神。正に、好き勝手し放題の叔父である。
私は、知っていますのよ。
叔父様の中に巣食う蛆虫が、目覚める日を。
「賢く生きるには、知恵を付ける。嘗ての神が、初めて作った人間に与えた誉れ。けど、それは、争いと崩壊の始まりだったのかも知れないと考えた者も居た」
創造神『クラエティア』は、その一人だったと思う女性は、一瞬、杖を出しそうになる心を押さえた。
あれは、時が来るまで、出さないと決めている。もし、出してしまえば嫌味たっぷりな大嫌いな男の顔が浮かぶ。
アイツの思惑に嵌まるのは、御免だわ。
楽しそうな声音が今でも聞こえそうになる。
浮いている水晶の一つに、そっと、触れた。間違ってなければ、これだ。
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