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第12話 夜

 さり……、と、シーツのこすれる音が聞こえた。  サミュエル先生は施療院へと出掛けていって、事務のマルセルさん達も帰って、今は、リオネルと、寝台に眠るヘイデンだけがここにいた。  起きたのかと思って、覗き込む。  けれど、ヘイデンは目を閉じたままだった。    綿花に水を含ませて、唇を湿らせてやる。  そっと首元に手を触れる。  ――熱のこもり具合は、解消されたみたいだ。  すぐに手を引っ込めて、リオネルは椅子に腰掛けた。  先生が気を利かせてくださって、リオネルの夕食は医務課まで届けられていた。  今は、添えられていた果物を少しずつかじっていたところだった。  なんで、手当もせずに放っておいたんだろう。    ――痛かったはずだ。    それで、ヘイデンの日頃の行動を思い返してみる。  基本的には、騎士と同じ三交代。  早番、遅番、深夜番。  早番の日は、いつも遅くまで鍛錬をしているようだった。  深夜番。――夕方まで眠りもせずに、あれも鍛錬だったかもしれない。  遅番の日のことはよくわからないけれど、前に医務課へ遊びに来た時は、遅番の日だと言っていなかったか。    それから、――ロビン。  大きく、ため息が漏れた。  静かな部屋の中、その音が広がって、消えていく。    ――忙しくしてるのに、……なんで。    それが、ヘイデンの真心の表し方だと気付いた時、自分は何を思っただろう。  ロビンのために時間を使わせることを、ありがたいとは思っても、心配もしなかった。  成人した日。――夜道で会った時もそうだった。  自分の時間を、いつも何かに使っている。  ――自分のことも、……大切にしろよ。  机の上で、ろうそくの火が少しだけ揺れた。  

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