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第17話 情動
「管理官さんからさ、――ディッカーたるものこうあるべき。って教わるんだよ、はじめに」
立てた膝に体重を乗せて、ヘイデンが言う。
「どんな?」
やわやわと、リオネルの手を握ったり緩めたりしながら、ヘイデンが視線を落としたまま言う。
「――触る前には、必ず確認しろとか、ウルラの、――ロビンの「イヤ」は、絶対拒否すんなとか、交渉までは絶対キスもすんなとか」
「――……そうだったんだ」
こくりと、小さくヘイデンが頷いた。
「怖がらせんなってことかと思ってたんだけど、だったら、あれしろこれしろって言うより、お互い知った方が、絶対怖くないじゃん。だから、」
少し、ヘイデンに腕を引かれる。
目線を上げると、静かな目をしたヘイデンが、こちらを見つめていた。
「……変なことしないから、ハグしていい?」
急な言葉に、目の前がくらくらした。
握られた手も、急に汗ばんだ気がして、背筋がぴんとした。
「――だめかな」
その、静かな目の向こう。
そこに、確かな熱があった。
こくりと、唾を飲み込む。
そっと、ヘイデンの手の中から手を引いて、――少し、ヘイデンの唇が開いた。
「ダメじゃない」
そのまま、両手をヘイデンの肩の上に回した。
そっと体を寄せて、ひざ立ちのまま、ヘイデンに抱きついた。
ふわふわの髪の毛が、目の前をチラチラと揺れた。
「――あ、のさ、ロビン」
「うん」
肩口に、ヘイデンの呼吸を感じる。
「管理官の言ってたことさ。
どこの貴族なんって思ってたけど、やっぱ、本当に大事って思った。」
心臓の音がうるさすぎて、触れ合った場所からヘイデンにも聞こえているんじゃないかと思った。
「めっちゃキスしてぇぇ」
「ふっは」
思わず笑ってしまったけれど、ヘイデンがあんなふうに言ってくれなかったら、もしかしたらリオネルがしてしまっていたかもしれない。
そして、もしそうだったら、どこまで進んでしまったかは、リオネルにはわからなかった。
ただ、それくらい止 ま れ な い 熱が、確かにあった。
ヘイデンの帰った後の部屋。フックにリースをかけ、リオネルは寝台に上がっていた。
ヘイデンとのやり取りで、熱を持ってしまっていたそこを服の上から触る。
少しは落ち着いていたけれど、一度昂った神経はすぐに調子を取り戻し始めた。
もしかすると、――多分、ヘイデンも。
手伝いで止まれるのか聞いた時、姿勢を変えたのは――、
きっと、同じだったから。
「――――っ」
尻の筋肉がぎゅっと形を変えて、前への刺激に反応する。
肩口で感じたヘイデンの呼吸と、背中に回された腕。
静かな目の奥に見つけた、確かな熱。
それから、
――ハグしていい?
ヘイデンの声がリフレインした。
その誠実さから、逃げたくなかった。
もう一度フックを見やって、それから、深く息を吐いた。
ちゃんと準備する。
そう、決めた。
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