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第19話 負け確

 二人並んでお昼ご飯をいただき、それから冷たいシャーベットも楽しんだ後。  騎士達は夜間、星を頼りに方角を確認する、と言うのでリオネルはこの日、部屋に星図を持ち込んでいた。 「ヘイデン、今ってどんな星が見えるの?」 「今?――俺方角と時間みるやつ以外あんまり知らないなー」  机に広げた星図を――それほど大きくはないので、主要な星しか載ってはいない――覗き込んで、ヘイデンが一番下にある星座を指でぐるっと囲んだ。 「これは、南側を示す星。」 「南の(くさび)だね」  名前を言うと、ヘイデンがリオネルの方を見た。 「そんな名前なん?」  頷いてみせると、ヘイデンは「へえ」と声を上げた。 「星の名前は気にしたことなかったな」  そう言われると、ヘイデンが星をどんなふうに覚えていたのか、逆に気になってしまう。  リオネルは名前がワンセットでないとなかなか覚えられない。 「それ、どうやって覚えてるの?例えば――、」  それで、体を乗り出して星図をひっくり返し、北の方角を示す星座を示す。 「これも、多分ヘイデンはよくみるやつだよね?」  それでひょいと顔を見上げたら、ヘイデンの顔がすぐそこにあった。   「――あ」  眼前に、指二本が立てられる。 「ふたつめ」  言いながら、ヘイデンが少し笑った。    ――――今のは、ヘイデンもだけどね! 「あと一つしかないじゃん!」 「ねー、気をつけんと」  とぼけたようにそんなことを言うので、なんとなく負けを認めたくなくて、リオネルも一本指を立てた。 「今のは!ヘイデンも、だからね?!」  ずいっと、ヘイデンの顔の前に指を一本突き出してやる。  するとヘイデンは、その指を見て、またリオネルの顔を見て。それからその手を取って、それを自分の左胸に刺した。 「はい、アウト」 「――――なんで?!」  ヘイデンが、少しリオネルに顔を寄せた。  それで、ヘイデンの胸に刺した指先が力をなくす。   「だってロビン、今俺にときめいたってことだよね?」  胸の内側で、心臓がぴょんと跳ねた。  頬の奥が一気に熱くなる。    ヘイデンの手から自分の手を奪い返して、その目の前で、二本目を立ててやる。それを、リオネルは自分の左胸に、刺した。  思いっきり鼻から息を吐いたリオネルを見て、ヘイデンが楽しそうに笑って、  ――それから、じっとリオネルの顔を見て、言った。 「ちゅうしていい?」 「――――だめ」    いつものヘイデンとは少し違った、真剣な声に、ぎゅうと喉が詰まった感じがして、自分の声が、ちゃんと言葉になったのが不思議なほど、震えていた。   「……だめ?」  ヘイデンの顔を見ていられなくて、目線を下げる。 「今の、……みっつめ」 「あーーーーー。」  ヘイデンがのけぞって、ソファの反対側に倒れた。 「もうダメ、俺死んだ」 「えっ」  そのセリフにびっくりして思わず聞き返すと、ヘイデンが両手で顔を覆って、くっくっと喉で笑った。   「ロビンさん。俺の自制心は死亡しました。どうしてくれますか」   「――勝手に死んじゃダメだよ……」  

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