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『地雷爆発!』
七星もやっと弁当を食べ終え、他愛ない話をしているうちに、急に翳りのある表情になる。
(あれ? なんか今言おうとした?)
自分が遮ってしまったような気がして、その横顔を見つめる。しかし、七星は何も言わない。
そのうちに別なことを考え始めた。
(可愛いなぁ。でも、ちょっと前髪ジャマだよな。なんでこんなに前髪長くしてるんだ? もうちょい短く切ったらもっと可愛いのに……)
黙って見つめ続けていたら、七星が顔を向けた。
「なに? 顔になにかついてる? ご飯とか?」
「えっ」
(やべっ見すぎてたか)
「あっ、やっ、なんでも……」
なんの言い訳も浮かんでこない。さらに困ったことに、
「さっきから顔赤いけど、熱でもあるのかなー」
特別に意識もせず、まるで子どもの熱を測るような感じで俺の額に七星の手が近づいてきた。俺は慌ててその手首を掴んだ。
「大丈夫、大丈夫」
七星の手首を握ったまま大きく上下に振った。
自分からは役得〜とばかりに肩を組んだりするのに、七星のほうからいろいろリアクション起こされるとめちゃくちゃ照れる。
しかも、今日は二回もだ。
俺はさらに顔が熱くなりそうなのをごまかすために、
「前から気になってたんだけど、前髪長くない? もうちょっと切ったらいいのに。せっかく、可愛い……」
さっき頭で考えていたことを口にしてしまったら、また余計なことを言いそうになる。
「……じゃなくてっ。これから暑くなるしな!」
俺は七星がしようとしたことと同じようなことを七星にもする。
彼の前髪に手を伸ばして――。
それは同じようなことでも、実は七星にとってかなりの地雷であることに気づくのだ。
「った!」
「わっ!」
まさか思いきり避けられるなんて。そして、俺自身思ったよりも力が入っていたらしい。結果、俺は七星の上に乗っかってしまう。
(うぁ、なんだこれっ。ラッキースケベってヤツ?!)
なんて喜んでいる場合じゃない。七星が潰れてしまう。
「ごめんっ」
慌てて上体だけ七星から離した。これで七星が潰れるのを回避。
と思ったら、七星と見つめ合ってしまった。これはこれでめちゃめちゃヤバい体勢なのでは。
「ごめんっ大丈夫?」
意識しすぎて声が上擦る。
「うん。大丈夫だよ」
逆に七星のほうはまったく意識はしていないような感じだ。自分ばかりが意識しているのが、ちょっと悲しい。
そう思ったら急に冷えて周りが見えてくる。
「あ……」
その時俺は、今俺の手を避けた理由も、前に前髪についていた桜を取ろうとした時に七星の様子が変だった理由も、分かってしまったのだ。
(額に傷が……)
今彼の前髪は乱れて額が丸見えになっていた。
(あれだけ隠そうとしていたのに……こんなにも簡単に……)
俺の視線がそこにあることに七星が気づいたようだ。瞳が不自然に揺れている。
お互い、気まずい空気のまま固まった。
それは一瞬なのにひどく長い時間のように思えた。
「やだーなにやってんの〜〜」
聞きたくない声なのに、この時ばかりは神の助けかと思ってしまった。
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