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『全部明かしてしまおう』
「え? なんのこと?」
金森は自分の分はすべて綺麗に食べ、「ごちそうさまでした」と合掌してからそう言った。
「だから! どうして中学から急にそうなっちゃったんだよってこと!」
金森と深く関わりたくなかった。
一緒にいる時間が増えればいつか言ってしまう気がしたから。
今まで時々ぽろっと言って、しまったと思うこともたびたびあった。それでも抑えてきたんだ。
(それなのに……金森が俺のこと家に誘ったりするから……そもそもコンビニに現れたりしなきゃ)
「そう、って?」
本当に分からないのか、それとも全部察していて言っているのか。
「髪染めたり、素行の悪いヤツらとつるんだり、だよ。小学校の時はそんなんじゃなかったろ」
もうすっかりタメ口だ。
「だ、ねぇ。まぁ、小学校の時からそんなヤツなかなかいないんじゃない? っていうか、ずいぶんボクのことずいぶん詳しいようだけど、学年違うからボクが中学生になった時、きみ、小学生だよね」
口調はまだいつも通りだが、探るように俺を見ている。俺はその視線から目を逸した。
「……あんた、小学生の時から有名人じゃん。金森家のよくできた子どもだって。それがそんなふうに変わったらこの辺じゃ噂にもなるだろ。たまに外で見かけたこともあるし。それに七星の家であんた言ったじゃん。悪いヤツらと一緒に七星のこと怪我させたって」
金森は何を考えているのか、しばらく黙り込む。俺の口調が悪くなったから怒っているわけじゃないと思うけど。
俺の分の料理はまだ少し残っているのに、それに手をつけられるような雰囲気でもない。
「……うん、言ったな。それで、オレがそんなふうになったからってきみになんの関係がある?」
ピリッと空気が凍ったような気がした。口調が変わる。顔は笑っているのにいつもとは違って見える。
俺は一瞬たじろいだ。しかし、ここまで言ってしまったのだ、もうすべて明かしてしまおう。それで金森が怒ろうが、気持ち悪がろうが、俺のことを避けようが構わない。むしろ、俺はそれを望む。
(金輪際、金森と城河が、俺と七星に関わらなければいい!)
「俺はあんたに憧れて野球を始めたんだっ!」
思いの外、大声になってしまった。
「俺が小三の時だ。友だちに誘われて、運動公園のグラウンドでK小野球クラブが市内でも強いとされている野球チームとの練習試合を見に行った。当然、負けるだろうと思ってたし、四回までは点も入らなかった」
観覧者は思いの外多かった。それがK小野球クラブのほうも多いことが俺には不思議だった。たいして期待もされてないような小学校チームの、しかも練習試合に。
『金森くん出ないのかな』
『早く、明を出せ』
何人かの児童がそう囁いている。それは児童ばかりでなく、中学生や大人までも同じことを言っていた。
『金森さんちのお子さん上手いんでしょ』
『明くんね。うちの子もそう言ってるわ』
(金森って……あの家の……)
俺の仲間たちの間で『お屋敷』と呼ばれている大きな家。噂の金森さんちの『めいくん』はその家の子どもらしいと分かった。
K小は先攻。四回表が終わった時点で、零対十一。小学生の試合は六回しかない。もう負けは確実だ。
四回裏。K小の投手が変わった。
それが金森明だった。
試合は六対十二で終了した。
「四回裏で投手として出てきたあんたはあっという間に三振を取り、五回表でホームランを打った。まあ、あんた以外は強くないから勝ちはしなかったけど。でもあんたが流れを作って他のメンバーも今まで以上の力を発揮して、六点入れたんだ」
長々と話をしているうちにピリッとした空気は消えていた。金森は黙って聞いている。
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