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『素肌合わせるって気持ちいい』
えらい自信だなと思いながら首を縦に振る。
(どれだけ気持ちよくしてくれるのか、みてやろうじゃないか)
かなり自棄気味である。
「じゃあ、ジーパンも脱がせていい?」
問いかけているがもう返事を聞く気はないようだ。俺の胸を軽く押してベッドの上に倒した。俺が一瞬バタついている間にカチャカチャとベルトのバックルを外す音が聞こえる。あっという間にジーパンは脱がされてしまった。
今まで散々恥ずかしいことをしてきたのだが、スポーツブリーフ一枚はもっと恥ずかしい。いや、間抜けすぎる。それにもうちょっとだけ濡れてしまっていることに気づかれたくなくて、俺は慌てて股間を隠した。
「そんなに恥ずかしがらなくたって。オレもだから」
その意味はすぐにわかった。
金森は自ら彼のイメージにぴったりの黒のダメージジーンズを脱ぐ。足もすごく綺麗に筋肉がついている。そして、つるつるだ。
(いやいや問題はそこではない)
この男はビキニパンツを穿いていた。それが苦しげに盛り上がっていて、目のやり場に困る。それと同時に。
(俺であんなふうに?)
地味に嬉しさが込み上げてくる。
(や、別に俺に、じゃなくても、こういう状況なら変に興奮してなることもあるか?)
自分で上げて下げた。
忙しく脳内会話をしているうちに金森は俺の身体に覆い被さってくる。一連の流れるような動作が、やはりこいつはかなり慣れているんだ、と思わせる。
「こうやって素肌を合わせるって気持ちいいよね」
こんなふうに人の重みを感じるのは子どもの頃に友だちとふざけあっていた時以来だ。まだ特に何も感じない頃の。
自分の性癖を自覚してから初めて合わせる男の肌はたしかに気持ちいいかも、と肯定するしかなかった。たぶん相手が女子だったらこんなふうには思えない。
「あ、ちょっと冷房下げようか」
と言ってヘッドボードに手を伸ばす。そこにエアコンのリモコンが置いてあるらしい。なぜか急に、ここが普段金森が寝ている場所なんだと思い至ってよけいに胸が騒ぐ。
「これから暑くなることするからね」
意味深すぎる言葉。
リモコン操作を終えたのか、俺のこめかみにちゅっとキスをする。
それが始まりの合図か。
顔中にキスの雨を降らし始めた。
(ほんとにこいつ平気なのか? 男初めてなのに。途中でやっぱり萎えたりしたら……もう、二度とこいつには近づかねぇ!)
しかし、そんなふうに冷静に考えられたのもここまでだった。
舌を絡めながら金森の手はすぐに俺の胸を弄った。そこが弱いとさっきわかったからだろう。そして俺も自分のそこが弱いと認め、さっきよりも気持ちよく感じてしまう。そこからすぐに指が離れてしまったのを残念に思うくらいに。
絡めていた舌先も離れていく。
急に何もかも放りだされたような気がして、閉じていた目をパッと開ける。
でもそうではなかった。
俺の首筋辺りに金森のオレンジ色の髪が見えた。さっき指で辿っていった場所を彼の唇が辿っていく。軽く吸われたり舐めたり、指でされるよりも衝撃的だ。一瞬で全身が粟立つ。
それに空いている手は腹やら太腿を撫で回しているのだ。
「あ……っ」
指先で触れられていた時は始終唇を塞がれていた。今俺の唇を塞ぐものはなく、声が漏れても仕方がない。
首筋から喉、鎖骨。胸の真ん中。さっきよりも丹念に丁寧に焦らすように、唇で舌で触れてくる。
(は……っいい……っ)
まだ恥ずかしさがあってその言葉はまだ口を割って出てはこない。でもこれ以上されたら。
必死で我慢していたのに、とうとう乳首が金森の口の中にパクっと飲み込まれてしまう。生温かい湿ったもので先端を嬲られる。
「ふ……っや……っあぁぁ〜っっ」
俺の口から不気味なほど甘い声が漏れてしまった。
俺の手は自由だ。パッと自分の両手で口を塞ごうとして、金森は片手だけでそれを制した。
「大丈夫。ここ遠いから少しくらい声出しても聞こえないよ」
乳首を含んだまま喋るものだから軽く甘噛み状態になりよけいに刺激される。
「ちがっそこでしゃべんなっ。俺の喘ぎなんて気持ち悪いだろっ」
もともと女を抱いていた男が、男の喘ぎなんか聞いて萎えないはずがない。
「そんなことないよ。可愛い、もっと聞かせて」
俺は黙り込んだ。
(こいつって……なんていうか、息をするようにこういう言葉吐くよな)
しかも声がめちゃめちゃ甘いのだ。
十六歳男子が大人の男性みたいに手慣れていていいのだろうか。
などと思っている間に新たな攻撃が繰り出される。
相変わらず胸に貪りつきながら、手は俺のブリーフをずらし、もう雫を滴らせている感触のする屹立を撫でる。
「ひゃっ」
甘い喘ぎというより奇声が飛び出してしまった。
それにも構わず熱いそれを擦ったり握ったり先端をつついたりしている。
俺の声はもう止まらなかった。
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