42 / 42
『俺たちつき合うってことでいいですか?』
俺たちは一晩中抱き合った。
幸せすぎて泣いた後、俺は別の意味で泣かされた。
金森は実は今までけっこう遠慮していたらしく、タガが外れたみたいに容赦なかった。そこまで求められたら俺も嬉しいし、気持ちもよかったけど、最後はよすぎてわけが分からなくなって、ずっと喘ぎながら啜り泣いていた。
体力には自信があったが、普段は使わない場所の筋肉を使ったせいで身体はガタガタだ。
最終的にはシャワールームですることになり、終わった後は綺麗さっぱりで眠りについた。
ちなみに一ラウンド終了後に、母に外泊することを連絡させられた。
こんな状態で家に帰っても親に合わせる顔がない、というか、どんな顔して「ただいま〜」って言えばいいのか分からないので、金森の判断は正しかったと言える。
朝目覚めてベッドの上に半身を起こす。
「痛たたた」
あちこち身体が痛くて、つい口にしてしまう。
隣で寝ている金森を見て、俺はまた幸せに浸ったり、昨夜の醜態を思い出して赤くなったりと忙しい。しかし、初めて金森の家に泊まった日の朝とは全然違う心持ちだ。
「だいくん……おはよ」
気怠そうな声が聞こえた。
(ちっ朝からイケメンだな)
「もうちょっと寝てようよ」
軽く手を引っ張られて誘惑されそうになるが、そこは気合で留まる。
「金森さん、ちょっと起きてくれませんか?」
いきなり畏まる俺のことを怪訝に思ったのか、ベッドから起き上がって俺の前に座る。
ベッドの上で二人して正座して向かい合う。
「だいくん、どうしたの?」
「えっとですねぇ」
俺たちは昨日お互いに対する自分の気持ちを告白した。俺は金森が好きで、金森は俺が好きだ。それが分かって、俺はめちゃめちゃ嬉しい。
しかし、俺にはまだ不安がある。確固たる言葉が欲しい。言葉がないためにこの数か月間もやもや悩み続けていたわけだから。
俺は背筋を伸ばした。
「金森さん」
俺の真剣な表情と声に金森もピシッと背筋を伸ばす。
「俺たち、つき合うってことでいいですか?」
俺的にはプロポーズくらいの心持ちでいる。
「はい。そういうことでいいかと思います」
金森の返事がなんとなくおかしくて、俺はぷっと吹き出してしまった。
「なんだそれ」
あはははと笑って、でも、ほっとしてまた涙が滲んだ。
(俺ってばこんなに泣き虫だったか)
目尻に滲む涙を拭って満面の笑みを浮かべる。
「よかった! なんかほっとした」
「だいくん、可愛い〜」
金森がぎゅっと抱きついてくる。
「可愛いっていうな」
(俺にかっこいい彼氏できました!)
誰にもできない報告を心の中でする。
「だいくんお腹空いた? なんか食べる?」
そういえば、ご飯でも食べにいくって話も出ていたけど、結局そのままこの部屋になだれ込んできたんだった。
腹は確かに空いているが。
「もう少しこうしていたい」
そう言うと俺は抱きついてきている金森ごとベッドに倒れ込んだ。
「いいよ、しばらくごろごろしてようか」
金森の片腕は俺の頭の下にあって、もう片方の腕で俺を抱き込んでくる。そして顔中にキスをする。
こんな漫画やドラマみたいな場面が実際に自分の身に起きるなんて。
(恥ずかしいくらいに幸せだ……)
「あ、そうだ。あと一つ」
大事なことはまだあった。
「学校では今まで通りな。七星や城河にも俺たちのことはまだ言わないでほしい」
「うん? わかった、いいよ」
金森はあっさり了承した。
誰もが認めるようなそんな世の中ではない。
(城河はともかく、七星みたいに汚れを知らないような人間にはなんとなく言いづらい。でも、いつかは……)
いつか七星に言える日がくるといいなと思いながら、金森の腕の中で幸せを噛みしめた。
ともだちにシェアしよう!

