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『二年生に進級しました』
『可愛い彼氏を作る』
それが入学当初の俺の目標。
紆余曲折ありまして、今は。
『かっこいい彼氏』ができました。
しかも『初恋』の人なんです。
『初恋』って実ることあるんですね〜。
都市伝説かと思いましたよ。
今、俺は幸せです。
でも、こんな幸せっていつまで続くんだろう。
* *
俺たちはつき合うことになったが、そのことは誰にも言わないし、悟られないように、俺は学校では金森に対して今まで通り少し塩辛い対応を続けた。
七星や城河にもとりあえず明かさないという約束を金森が守ってくれていると信じているが、仮にぽろっと城河に言ってしまったとしても城河はそれを言いふらすような男ではない。その辺に関しては信じられる男だと思っている。
だからといって慣れ合う仲にはなりはしないが、なんとなく四人で過ごす日も多くなったのは事実だ。
ちなみに一月三日に拝んだ黒に近い髪色は、新学期にはもう元のオレンジ色に戻っていた。
色白の美しい顔と相まってとても上品に見えていたので、俺として
はすごく残念だ。
まあ。しかしだ。
オレンジ色の髪も今では見慣れてしまって、金森らしいといえば金森らしいかもしれない。
そして、四月。
俺たちは二年に進級した。
金森も今回は俺たちと一緒に無事二年になれた。それはそうだろう、もともとは優秀な男で、出席日数さえ足りていれば昨年二年生になっていたはずだ。
城河や七星や、俺ーーここで自分のお陰ーって堂々と言えるほどツラの顔は厚くないので、おまけにつけておくーーとの関わりが面白いと思ってくれたのか、毎日学校に来るようになった。
前に、そんなことはない、と言っていたけど、本当は城河と同じ学年になりたかったんじゃないのか、とちらっと頭によぎることもある。
(もう、もやもやなんかしないからー)
下駄箱前で先生方が配っているプリントを受け取る。
これには新しいクラスの名簿が載っている。二年生から理系文系と分かれ、俺は理系を選択した。
理系クラスは後半クラス、これは毎年変わらない。五組の名簿から見始める。五組には名前はなく、六組に移る。
(あ、金森六組か……俺もだ。一年間金森と一緒なのか)
名簿順でいうと、『か』の金森のすぐ下に『く』の日下部があり、同じクラスであることが一目で分かった。
嬉しいような嬉しくないような、複雑な気分だ。
同じクラスでしかも名簿順で並んでいるともなれば一緒に行動することも多くなりそうだ。陸上部員など、俺たちがつるんでいるとすでに知っている生徒もいるが、金森といると悪目立ちしそうな気がする。
(ま、そんなことはどうでもいいんだが)
あとは金森が女子に囲まれているところを見て、もやっとする回数が増えそうだとか、俺の気持ちがダダ漏れにならないよう引き締めなきゃとか、いろいろ不安材料もある。
(俺の金森に対するツンツンの発動回数が増えそうな気がする……なんか、疲れそうだな)
気を取り直して。
(えっと七星は……二組か)
七星は文系を選択していた。ぜったい同じクラスにならないと分かっているのに改めて見るとがっかりする。
「おわっ、城河と一緒かー」
あっちはあっちで大変そうだなと思っていると、
「だーいくん、おはよー」
頭の後ろから世にも軽そうな声が聞こえてきた。そして、背後から首の前に腕が回ってくる。
(こいつは、俺の心配しているようなことはまったく考えたことないんだろうな)
「あ、もしかして、ボクたち同じクラスなんじゃない?」
「やめてくださいよ、金森先輩」
首に回った腕をぶん投げるように外す。
「あれー? だいくん、お約束は?」
邪険に扱われたことなどものともせず、俺の顔を覗き込んでくる。
「カナ先輩」
「よしよし」
よくできました! と子どもが親にされるみたいに頭を撫でられた。
「でも、別に『先輩』はなくてもいいと思うよぉ。同じ学年なんだし」
「いいんだよ! これで!」
学校にいる時と二人だけの時とは区別しておかなければ。
「けっこう頑固だよね、だいくんて」
「あんた、柔軟すぎ」
そして、金森のいうところの『お約束』については。
少し前、そう、春休みに遡る。
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