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第四章【5】授かる理由

 翌日の午後。  ユリはエルネスティの3人の妻、キーア、パメラ、レナーテに誘われ中庭でお茶をしていた。 「あの方、ずっとユリ様を見張ってるの?」  レナーテが声を潜めユリに尋ねてきた。  4人がお茶をするガゼボから、蔓薔薇が咲き乱れる生け垣を挟んで少し離れた所にアルマスがいる。そしてユリ達とアルマスの中環地点にはイラが。優雅なティータイムに水を指すピリピリとした空気が漂っていた。 「そのようです……。皆様にも居心地が悪い思いをさせてしまって申し訳ありません」  ユリは3人向けて丁寧に謝罪した。するとキーアがゆっくりと首を横に振った。 「一番窮屈なのはユリ様でしょう。謝らないでくださいな」 「見張っても子ができるわけもないのにねぇ」  パメラもキーアに同意するように頷くと、あきれたようにアルマスに視線を向ける。 「皆さんは……どれくらいで授かりました?」  ユリはふと、昨日アルマスに言われたセリフを思い出し尋ねた。3人は互いに顔を見合わせた。 「そうね……どうだったかしら……」 「もうずいぶん昔ですからね」 「そうねぇ……」  しどろもどろに答える3人。たぶん皆ここへ嫁いですぐに妊娠したのだろうが、気を使って曖昧に答えてくれている。ユリはそんな気がした。 「4回も発情期があったのに、まだって……やっぱり遅いですよね……」  ユリは胸の奥がキリキリとするのを感じた。ずっと抱えている痛みだ。  今はあんなに性欲旺盛なライモでも老いれば孕ませる力は減るという。オークの村にはライモの子どもが何人もいるらしい。なのになぜ自分は授からないのか。やっぱりオークとエルフではダメなのか。 「どうしたら、授かるのかな……。何がいけないんだろう……。私は、親になる資格がないのかな……」  ほとんど独り言のように両手を握りしめて愚痴ると、キーアがそのユリの手に手を重ねてきた。 「ユリ様。子を授かるかは、結局はくじ引きみたいなものよ」  ユリは視線をあげキーアを見た。 「私たちが生まれる種族を選べないと同じ。授からないことに理由なんて無いの。ましてや『資格がない』だなんて、自分を責めてはダメよ」  ユリと同じ緑の瞳が真剣に語っていた。 「まだたった10年なのだから、あきらめる必要は無いですけど、子を持つことだけが全てだとは思わないで。愛する人がいて、愛されていて。それってとても素敵なことよね」  ユリはキーアを見つめ頷いた。パメラとレナーテも頷いていた。  その言葉だけで完全に納得できるわけではないが、『貴方が悪いわけではない』と言ってもらえると少しだけ気分が上向く。  エルフとオークで番になったのだ。子ができるかどうかなど誰にも分からない。 「皆さん、ありがとうございます」  ユリは3人に向かって微笑み返した。

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