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#2: α(アルファ)の王子様との出会い: お布団の中、アニーのお口奉仕は発射直前にシスター・レイン
翌日の昼下がり。孤児院の裏手に広がる「バンビの丘」は、穏やかな木漏れ日に包まれていた。
ルーシャは草むらにぽつんと座り込み、膝を抱えて顔を伏せていた。昨夜、アニーのベッドの中で分け合った、下着越しの生々しい熱。あとに残された、じっとりとした罪悪感と、得体の知れない戸惑い。
「……どうしよう、クリリン。僕、アニーと……」
ルーシャはアライグマのクリリンに胸の内を打ち明けた。
「あれは昨日の夜のことだけ。今日からは、またアニーとはいつもの友達に戻るんだ」
その告白に、クリリンはどこか不思議そうに小さな首をかしげた。やがてルーシャの靴先を軽く鼻でつつくと、踵を返し、カサカサと音を立てながら近くの草むらへと去っていった。
ルーシャは小さくなっていくその背中を寂しげに見送った。
「待ってよクリリン、まだ話があるのに……」
そのとき、ふいに頭上から柔らかな声が降ってきた。
「おや。あのいたずらっ子 は、君の大切なお友達かい?」
ハッとして顔を上げると、そこには木漏れ日を浴びて佇む、息を呑むほど美しい金髪の青年が立っていた。おとぎ話の絵本からそのまま抜け出してきたかのような、圧倒的に眩い姿だった。
「話の続きなら、僕が代わりに聞いてあげようかい? カボチャくん」
悪戯っぽく、けれど最高に優しく口元を緩める彼から、目が離せない。
彼は、ルーシャにとって人生で初めて出会う「本物のアルファ」だった。自身の内に眠るオメガの本能を、否応なく引きずり出すことになる存在——。
その眩い青年は、ふっと微笑んで屈み込むと、大きな手でルーシャの頭をポン、と愛おしそうに撫でた。
——その瞬間、ルーシャの身体に凄まじい衝撃が走った。
頭を撫でられただけなのに、肌の奥が、下腹部が、じわりと熱く痺れる。まだ自分の第二の性を知らないルーシャには、それがアルファのフェロモンに当てられたオメガの本能的反応だとは分からない。
けれど、心臓が痛いほどに激しく跳ね、生まれて初めて知る「男の人への強烈なときめき」に脳がショートした。
顔が火を噴くように赤くなるのを感じ、ルーシャは弾かれたように立ち上がると、逃げるようにその手を振り払って丘を駆け降りた。背後で楽しげな笑い声が聞こえた気がしたが、振り返る余裕などない。心臓の音がうるさくて、耳の奥が痛かった。
◇
夜。静まり返ったルーシャとアニーの相部屋。
ルーシャは自分のベッドの中で、悶々と寝返りを打っていた。昼間に丘の上で出会った、あの眩しい金髪の少年のことが頭から離れない。男の人に触れられて、あんなに胸が昂り、身体が熱くなるなんて。自分は本当におかしくなってしまったんじゃないか。
(だめだ……どうしたんだろう、…… はしたないこと ばかり考えてしまうっ)
布団の中で、ルーシャの震える手は無意識に自分の股間へと伸びていた。下着越しに触れたそこは、すでに痛いほど熱く、硬く張り詰めている。
「……、ぁ……」
自分で自分を慰めるようにそっと扱くと、頭の芯が痺れるような甘い快感が背筋を駆け上がった。瞼の裏に焼き付いているのは、あの金髪の少年の眩しい笑顔と、頭を撫でてくれた大きな手のひらの感触ばかり。
(あれは男の人なのに……)
同性に欲情して、一人で熱を持て余している。そのあまりにも異常ではしたない事実に涙が滲む。けれど、暴走し始めた身体はどうしても止められない。
強烈な動揺と未曾有の快感にパニックになりかけていたその時、隣のベッドからかすかな嗚咽が聞こえた。アニーだ。強制的な養子縁組のカウントダウンに怯え、今夜も声を殺して泣いている。
いつもなら、優しく諭すように寄り添うはずだった。しかし、昼間に浴びたアルファの熱を持て余していたルーシャは、内側から突き動かされるような焦燥感に耐えきれず、自らアニーのベッドへと潜り込んだ。
「……ルーシャ?」
「静かに。……昨日の、続き…」
ルーシャの狂おしい熱情に、アニーは戸惑い、息を呑んだ。しかし、アニーは悲しそうに首を横に振った。
「……昨日の続き? …してあげたい。でも、僕からはできないよ」
「どォうして……っ」
「だって、『これ以上したら、嫌いになる』って言ったじゃん。…僕、ルーシャに嫌われたくないから」
その絶対的な生殺しのルールの逆転。アニーは、熟れた果実のように火照るルーシャを静かに試す。
「続き……したいなら。自分でパンツ脱いで……」
甘く残酷なその言葉に、ルーシャのなけなしの理性が完全に焼き切れた。
オメガの本能に突き動かされるまま、ルーシャは震える手で下着のゴムを掴み、一気に引き下ろした。
——パチンッ!
硬く反り返ったものが勢いよく飛び出し、空気を弾くような音を立てた。すでに痛いほどに充血した先端が、糸を引くほどに濡れている。そのままルーシャは息を荒げ、アニーの掛け布団の中へと滑り込んだ。
生肌と生肌が直接触れ合った瞬間、ルーシャの頭の中で、何かが弾け飛んだ。
「ぁ……っ、ん……」
暗闇の中、アニーの滑らかな肌に触れ、その熱を貪りながらも、ルーシャの脳内では最悪の混濁が起きていた。
目の前で自分を求めて吐息を漏らすアニーの顔と、昼間に丘の上で自分を狂わせた、あの眩しい王子の面影がぐちゃぐちゃに混ざり合っていく。
「僕のパンツも、脱がして……」
アニーが熱い吐息と共に小さく囁くと、ルーシャはもう何も考えられなかった。震える手でアニーの下着に指をかけ、一気に引き下ろす。
熱く硬くなったものが勢いよく飛び出し、ルーシャの頰を軽く打った。
男同士で慰め合っているという歪な背徳感と、行き場のない情欲がドロドロに溶け合う。
決定的な一線を、とうに踏み越えていた。
下着という免罪符すら失った密室の熱気の中で、二人の思春期の不器用な情欲が、引き返せない速度で最頂点へと駆け上がっていく。
「あ……っ、ん……! ま、待って……!」
絶頂がすぐそこまで迫ったその瞬間。
ルーシャはハッと我に返り、慌ててアニーの肩を押し返そうとした。
「だめ……っ! やっぱり、だめ……っ」
「どうして……?」
「これ以上したら……だめ、だから……っ」
下着を脱ぎ捨てておきながら、またしても超えがたい一線がそこにあった。
するとアニーは、火照った顔でふっと小さく微笑んだ。
「……心配しないで、汚れないようにしてあげるから」
言うなり、アニーの体が布団の中でさらに下へと滑り込んだ。
「ぇ……?」
直後、ルーシャの最も熱く敏感な部分が、温かく湿った柔らかなものにすっぽりと包み込まれた。
「ぁ……っ」
アニーの口だ、と理解した瞬間、ルーシャの背筋に稲妻のような快感が走った。
「だ、だめっ……//////」
両脚を限界までピンと突っ張らせ、足の指先をギュッと丸めて今にも絶頂 く体勢を作る。そのどうしようもなく感じきっている無防備な姿を見て、アニーはふと唇を離し、意地悪く囁いた。
「だめなの?」
「ぇっ!」
突然与えられていた快感を焦らされ、ルーシャの腰がビクンと跳ねた。頭の芯が真っ白に染まり、抗えない絶頂への渇望が、なけなしの恥じらいを完全に凌駕していく。ルーシャは震える声で、思わず口走っていた。
「今日だけだよ……」
——と、その時だった!
「なにをしてるのですか!!」
眩いカンテラの光が、一瞬にして暗闇のベッドシートを白日の下に晒し出す。
「……なんて破廉恥な! 聖なる院内で、何という不順な同性愛行為を働いているのです!」
光の向こうに立っていたのは、夜の巡回で見咎めた、厳格なシスター・レインだった。
雷を落とされたようなその怒声に、ルーシャとアニーの身体は、一瞬にして絶対零度へと凍りついたのだった。
つづく
—
シスターの怒声によって、二人の運命は無残に引き裂かれた。
孤児院最後の夜、温もりを求めて縋るアニーを、ルーシャは冷たく突き放す。
「だめだよ。シスターに約束したよね。もう男同士でそういうことしないって」
次回
#3:引き裂かれる二人: 変態アルファに買われ、女装ネグリジェを強いられるアニーの絶望
「……僕たち、普通の友達に戻ろうよ」
お楽しみに!
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