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#5: 孤児院からの旅立ち: トムからの背後からの抱擁と囁き、エンブレムを胸にペンドルトン館へ
窓から差し込む薄い明かりの中、ルーシャは小さな机に向かっていた。
広げた便箋には、アニーからの手紙が丁寧に置かれている。
『僕は今、とても静かで立派な家に引き取られて暮らしているよ。あの地獄から、足長おじさんに救い出されたんだ。』
その文字をなぞるたび、ルーシャの胸に温かい安堵と、切ない疼きが広がった。あの子は無事だ。あの金髪の青年、あの王子様が、絶対的な力でアニーを救ってくれた。
「本当によかった……」
ルーシャはすり減った鉛筆を握り、心を込めて返事を書き始めた。祝福と、抑えきれない想いを込めて。
「まだそんな手紙書いてるの? いい加減忘れなよ」
背後からトムの声が降ってきた。ルーシャが慌てて手紙を隠すと、トムはつまらなさそうに笑った。
「ルーシャ、僕、明日ここを出て行くんだ」
「え……」
「大農場に引き取られることになった。……君も一緒に来ないか?」
トムの声が一段低くなる。次の瞬間、大きな手がルーシャの肩を掴み、後ろから強く抱きすくめてきた。
「わっ……トム!?」
熱い吐息が耳にかかる。トムはルーシャの細い体を逃がさないように腕に力を込め、甘く囁いた。
「農場なら二人で暮らせるよ。……もう我慢しなくていいんだ。アニーの代わりに、僕がルーシャを抱いてあげる」
ルーシャの背筋がぞくりと震えた。拒絶しようと身をよじると、トムはさらに強く抱き締め、耳元で意地悪く続ける。
「隠さなくたっていいよ。君がアニーと夜な夜な、布団の中で熱く絡み合ってたこと……全部知ってるんだから」
「……っ!」
ルーシャの顔が一瞬で真っ赤に染まった。羞恥と恐怖で頭が真っ白になる。必死にトムの胸を突き飛ばし、荒い息を吐きながら後ずさった。
「やめて……! 僕は、そんな……」
「男は嫌いだって言うの?」
トムが冷たい笑みを浮かべた瞬間、ルーシャは書きかけの手紙を掴んで部屋を飛び出した。
◇
薄暗い廊下を必死に走り、玄関ホールでようやく足を止めたルーシャの手に、くしゃくしゃになった手紙が握られている。
(この手紙……アニーに届けたい……)
郵便受けに向かおうとしたその時、冷たい声が響いた。
「アボット。その手に持っているものは何?」
シスター・レインだった。
ルーシャが手紙のことを告げると、シスターは静かに、しかし冷たく首を振った。
「出すのはおやめなさい、アボット。あの子のためよ」
「……どうしてですか」
「あの子は今、名家の子息として新しい人生を歩み始めたの。この孤児院の過去は、すべて忘れさせるのが優しさなのよ。あなたの想いすら、あの子にとっては汚点になるかもしれない」
ルーシャの胸が痛く締め付けられた。自分の気持ちさえ、アニーの未来を汚すものなのか。
「……わかりました」
シスターは無表情のまま続けた。
「ちょうどいいわ。今すぐ院長室へ行きなさい。リペット院長がお呼びよ」
◇
院長室で告げられたのは、ルーシャにも引き取り手が決まったという知らせだった。
名門「ペンドルトン分家」から、『令息のお話し相手』という名目で声がかかっていた。しかしそれが実質的な「愛玩物」としての身売りであることは、ルーシャにも痛いほど理解できていた。
「……はい。私、行きます」
ルーシャは背筋を伸ばし、静かに答えた。アニーが新しい人生を選んだように、自分もこの鳥籠から飛び立つしかない。
◇
出発の朝、ルーシャは最後に「バンビの丘」へ足を運んだ。
朝霧の中、金髪の青年が静かに佇んでいた。
「おや、今日は随分早いね」
ルーシャは深く頭を下げ、震える声で告げた。
「……お別れに来ました。僕、ペンドルトン館に引き取られることになりました」
青年は少し目を細め、静かに近づいてきた。そして懐から美しい銀のエンブレムを取り出し、ルーシャの手のひらにそっと置いた。
「これは僕からの餞別だ。何かあったら、これが君を守ってくれる」
温かい指先がルーシャの手を包む。その優しさに、ルーシャの目頭が熱くなった。
「……ありがとうございます。大切にします」
青年は最後に、ルーシャの髪を優しく撫でた。
「また会おう、カボチャくん」
ルーシャは胸に銀のエンブレムを固く握りしめ、黒塗りの馬車へと乗り込んだ。
遠ざかっていく孤児院の森を眺めながら、ルーシャは静かに決意を固めた。
胸に渦巻くのは、不安と、ほんの少しの期待。しかし、ルーシャの瞳に迷いはなかった。己の尊厳を懸けた戦いが、いま静かに幕を開けようとしていた。
つづく
—
泥水まみれで豪奢な浴室へ引きずり込まれたルーシャ。
冷酷な笑みを浮かべる少女・ジュリアの命令で、無理やり衣服を剥ぎ取られていく。
「この束子 で、徹底的に洗いなさい。泥の匂い一つ残さないように」
次回
#6: 泥水と全裸の屈辱: ジュリアの前でツェーに亀の子束子で洗われる折檻と、ジュリアンの登場
「さあ、脱がせなさい。全部」
お楽しみに!
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