5 / 5

#5: 孤児院からの旅立ち: トムからの背後からの抱擁と囁き、エンブレムを胸にペンドルトン館へ

窓から差し込む薄い明かりの中、ルーシャは小さな机に向かっていた。 広げた便箋には、アニーからの手紙が丁寧に置かれている。 『僕は今、とても静かで立派な家に引き取られて暮らしているよ。あの地獄から、足長おじさんに救い出されたんだ。』 その文字をなぞるたび、ルーシャの胸に温かい安堵と、切ない疼きが広がった。あの子は無事だ。あの金髪の青年、あの王子様が、絶対的な力でアニーを救ってくれた。 「本当によかった……」 ルーシャはすり減った鉛筆を握り、心を込めて返事を書き始めた。祝福と、抑えきれない想いを込めて。 「まだそんな手紙書いてるの? いい加減忘れなよ」 背後からトムの声が降ってきた。ルーシャが慌てて手紙を隠すと、トムはつまらなさそうに笑った。 「ルーシャ、僕、明日ここを出て行くんだ」 「え……」 「大農場に引き取られることになった。……君も一緒に来ないか?」 トムの声が一段低くなる。次の瞬間、大きな手がルーシャの肩を掴み、後ろから強く抱きすくめてきた。 「わっ……トム!?」 熱い吐息が耳にかかる。トムはルーシャの細い体を逃がさないように腕に力を込め、甘く囁いた。 「農場なら二人で暮らせるよ。……もう我慢しなくていいんだ。アニーの代わりに、僕がルーシャを抱いてあげる」 ルーシャの背筋がぞくりと震えた。拒絶しようと身をよじると、トムはさらに強く抱き締め、耳元で意地悪く続ける。 「隠さなくたっていいよ。君がアニーと夜な夜な、布団の中で熱く絡み合ってたこと……全部知ってるんだから」 「……っ!」 ルーシャの顔が一瞬で真っ赤に染まった。羞恥と恐怖で頭が真っ白になる。必死にトムの胸を突き飛ばし、荒い息を吐きながら後ずさった。 「やめて……! 僕は、そんな……」 「男は嫌いだって言うの?」 トムが冷たい笑みを浮かべた瞬間、ルーシャは書きかけの手紙を掴んで部屋を飛び出した。 ◇ 薄暗い廊下を必死に走り、玄関ホールでようやく足を止めたルーシャの手に、くしゃくしゃになった手紙が握られている。 (この手紙……アニーに届けたい……) 郵便受けに向かおうとしたその時、冷たい声が響いた。 「アボット。その手に持っているものは何?」 シスター・レインだった。 ルーシャが手紙のことを告げると、シスターは静かに、しかし冷たく首を振った。 「出すのはおやめなさい、アボット。あの子のためよ」 「……どうしてですか」 「あの子は今、名家の子息として新しい人生を歩み始めたの。この孤児院の過去は、すべて忘れさせるのが優しさなのよ。あなたの想いすら、あの子にとっては汚点になるかもしれない」 ルーシャの胸が痛く締め付けられた。自分の気持ちさえ、アニーの未来を汚すものなのか。 「……わかりました」 シスターは無表情のまま続けた。 「ちょうどいいわ。今すぐ院長室へ行きなさい。リペット院長がお呼びよ」 ◇ 院長室で告げられたのは、ルーシャにも引き取り手が決まったという知らせだった。 名門「ペンドルトン分家」から、『令息のお話し相手』という名目で声がかかっていた。しかしそれが実質的な「愛玩物」としての身売りであることは、ルーシャにも痛いほど理解できていた。 「……はい。私、行きます」 ルーシャは背筋を伸ばし、静かに答えた。アニーが新しい人生を選んだように、自分もこの鳥籠から飛び立つしかない。 ◇ 出発の朝、ルーシャは最後に「バンビの丘」へ足を運んだ。 朝霧の中、金髪の青年が静かに佇んでいた。 「おや、今日は随分早いね」 ルーシャは深く頭を下げ、震える声で告げた。 「……お別れに来ました。僕、ペンドルトン館に引き取られることになりました」 青年は少し目を細め、静かに近づいてきた。そして懐から美しい銀のエンブレムを取り出し、ルーシャの手のひらにそっと置いた。 「これは僕からの餞別だ。何かあったら、これが君を守ってくれる」 温かい指先がルーシャの手を包む。その優しさに、ルーシャの目頭が熱くなった。 「……ありがとうございます。大切にします」 青年は最後に、ルーシャの髪を優しく撫でた。 「また会おう、カボチャくん」 ルーシャは胸に銀のエンブレムを固く握りしめ、黒塗りの馬車へと乗り込んだ。 遠ざかっていく孤児院の森を眺めながら、ルーシャは静かに決意を固めた。 胸に渦巻くのは、不安と、ほんの少しの期待。しかし、ルーシャの瞳に迷いはなかった。己の尊厳を懸けた戦いが、いま静かに幕を開けようとしていた。 つづく — 泥水まみれで豪奢な浴室へ引きずり込まれたルーシャ。 冷酷な笑みを浮かべる少女・ジュリアの命令で、無理やり衣服を剥ぎ取られていく。 「この束子(ブラシ)で、徹底的に洗いなさい。泥の匂い一つ残さないように」 次回 #6: 泥水と全裸の屈辱: ジュリアの前でツェーに亀の子束子で洗われる折檻と、ジュリアンの登場 「さあ、脱がせなさい。全部」 お楽しみに!

ともだちにシェアしよう!