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#28: 森の番人との出会い: 屈辱の貞操帯からの解放と、薬塗りで思わず反応してしまう恥じらい
冷たく湿った地下ダンジョンの闇と、アンドレの獣じみた笑い声、そして身を挺して自分を逃がしてくれたツェー(Tseh)の悲痛な叫びが、耳の奥にこびりついて離れなかった。
「早く逃げて!」
その声に背中を押されるように、ルーシャは必死に走り続けた。過剰なフリルとレースに彩られたドレスの裾を握りしめ、涙でぐしゃぐしゃに崩れた化粧も構わず、暗い森の奥へとひたすら駆け込んだ。
(ごめんね、ツェー……絶対に助けに戻るから……っ!)
どれほど走っただろう。森の奥深く、巨大な樫の木の根元まで辿り着いたところで、ルーシャの視界はぐらりと揺れる。
次の瞬間には、落ち葉と泥の上へ倒れ込んでいた。
◇
——チュン、チュン。
小鳥のさえずりが耳をくすぐる。重たい瞼を持ち上げると、木漏れ日が視界いっぱいに広がった。
生きている。
その事実に胸を撫で下ろしながら身体を起こそうとした、その時だった。
「おや、こんなところにカボチャさんがいる」
頭上から降ってきた、どこか聞き覚えのある飄々とした声に、ルーシャはびくりと肩を震わせた。
目の前にしゃがみ込んでいるのは、無精髭を生やし、色付きのサングラスで目元を隠した男だった。つぎはぎだらけのヨレヨレの服を着た、薄汚い風貌の男。
「カボチャ……?」
昨夜からの恐怖と理不尽さが、一気に怒りとなって爆発した。ルーシャは涙目で男を睨みつけ、精一杯の声で言い返した。
「僕はカボチャなんかじゃない!」
「おっと、失礼」
「僕はジェルーシャ・アボット! ルーシャだよ!」
叫んだ瞬間、堪えていた涙がぽろぽろと溢れ落ちた。
「どうしてみんな、僕を名前で呼んでくれないんだ!」
男は少し驚いたようにサングラスの位置を直し、それから穏やかな声で言った。
「これは失礼、ルーシャ。てっきり森の妖精か、ハロウィンの置き忘れかと思ったものでね」
男は足元をゴソゴソと動かした。そこには一匹の大きなカメが、のんびりと草を食んでいる。
「こいつはヒューリィ。私の相棒だ。挨拶しなさい、ヒューリィ」
その飄々とした態度と言葉に、ルーシャの警戒心が少しだけ緩んだ。あの屋敷の人間たちのような、値踏みするような冷たい視線がない。ただの薄汚いけれど、どこか気の良さそうな変人に見えた。
「……あなたは、ここで暮らしているの?」
「まあ、そんなところだ。森の番人みたいなもんさ」男は軽く肩をすくめると、手に持っていた水筒をルーシャに差し出した。
「飲みな。カボチャも水分がなきゃ干からびちまうぞ」
ルーシャは小さく礼を言って水筒を受け取り、冷たい水を喉に流し込んだ。一度口を開くと、堰を切ったように言葉が溢れ出した。
「僕は……あの屋敷から逃げてきたんです」
「僕?」男が首を傾げる。
「その格好で?」
「違う!」思わず声が大きくなる。
「僕は男だ! こんなの、好きで着てるんじゃない! 無理やり着せられたんだ!」
しばらく沈黙が落ちる。やがて男は真面目な声で言った。
「そうか」それだけだった。笑わない。疑わない。気味悪がりもしない。
「ひどい連中だな」
静かなその一言に、ルーシャの胸がぎゅっと締め付けられた。ふいに力が抜けてルーシャは顔を歪めた。痛む腰のあたりを無意識に押さえる。
その拍子に、ドレスの下から「カチャリ」と冷たい金属音が小さく鳴った。
「……今の音は?」
低い声だった。
ルーシャの肩が震える。
男はじっと彼を見つめていた。
サングラスの奥の視線だけが、異様なほど鋭い。
「何か付けられているのか」
ルーシャは俯いた。言いたくない。見せたくない。恥ずかしい。惨めだ。
けれど——。なぜか、この男には隠せなかった。
ルーシャは顔を真っ赤に染め、震える指でゆっくりとドレスのスカートを捲り上げた。
「こんなものまで……着けられて……」
白く細い太ももの間に、容赦なく食い込む冷たい金属の貞操帯。その卑猥で残酷な光景を目の当たりにした男の表情が、静かな怒りに染まっていく。
「……なんて酷いことを」
男は低く吐き捨てるように呟くと、すぐにルーシャを抱き上げて自分の小さなログハウスへと連れて行った。
工具を取り出し、ルーシャの柔らかい肌を傷つけないよう細心の注意を払いながら、忌まわしい貞操帯を慎重に外していく。
カラン……。
重い金属が床に落ちる乾いた音が響いた。
解放された瞬間、擦り切れて血の滲んだ敏感な肌が空気に触れ、ルーシャは小さく痛みの声を上げた。
「ひどい傷だ……。待ってろ、今薬を持ってくる」
男が小さな瓶を手に戻ってくると、ルーシャは慌ててドレスの裾を両手で押さえた。
「あ、あの……自分でできます……!」
男は困ったように笑った。
「無理だろう。手も震えているじゃないか」
言われて初めて気付く。自分の指先は情けないほど震えていた。恐怖も疲労も、まだ身体の奥に残っている。
男は無理に近付くことなく、ルーシャの目を見た。
「傷を診るだけだ」
男はルーシャの手首を優しく退けると、指先に薬をたっぷりと取った。温かく大きな指先が、擦り切れた太ももの内側をゆっくりと這い上がり、敏感な部分のすぐ傍まで滑っていく。まるで意図的に焦らすような、ねっとりとした動きだった。
「あっ……んんっ……////」
ルーシャの身体がびくんと跳ね、甘い声が抑えきれずに漏れた。恐怖が溶けた反動で下腹の奥が熱く疼き、恥ずかしい部分がみるみる硬く反応 ♂して、男の指先に当たってしまう。
「ご、ごめんなさい……っ//////」
涙がぽろぽろと溢れ落ちる。男の人に触れられて、こんな風に反応 してしまう自分がたまらなく恥ずかしかった。
男はハッとして動きを止め、困ったように頭を軽く掻いた。
「……ごめん。僕がデリカシーに欠けていたな。やっぱり自分で塗るか?」
ルーシャは答えられず、ただ真っ赤な顔で涙を拭いながら、男の手から薬の瓶をひったくるように受け取った。
「……も、もう、自分でできますから…////」
顔を背けて小さく震える声でそう言うと、男は優しい苦笑を浮かべた。
「あはは、わかった。ごめんな。僕、外に出てるよ」
男はそう言って、足早に部屋の外へと出て行った。
「着替えもここに置いとくよ。僕のだけど、男物だから安心して着てくれ」
扉の向こうに消えていく広い背中を見つめながら、ルーシャはそっと自分の傷ついた肌に薬を塗り始めた。指先が震えて上手く塗れない。頰は熱く、胸の奥が妙にざわつき、そして硬く反応してしまった下腹部の疼きは治らなかった……
つづく
—
地下牢でアンドレの汚らわしい蹂躙に耐えるツェーのもとに、ペンドルトン夫人から無情な売却宣告が下される。一方、森の番人に助けられたルーシャは、彼から借りた大きなシャツを身に纏い、手料理を振る舞う幸せな日々を過ごしていた。
「ルーシャは料理が上手いな」
次回
#29: ログハウスでの穏やかな日々: ツェーの売却宣告と、プライドを捨ててすがりつくジュリアの涙
「もう……やめて、アンドレ……お願い、許して……」
お楽しみに!
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