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#92: 暴力と雪夜の逃亡: レオノラの保護と、嫉妬に狂う言葉攻めSEX

『薬局に行けば売ってるから。自分で買って、検査しなさい』 レオノラの冷たい声が、吹雪くシカゴの夜道で何度もルーシャの頭の中で繰り返されていた。 (妊娠……? まさか、そんな……) 震える指でコートの襟を掻き合わせながら、ルーシャは四畳半のアパートのドアを開けた。キッチンの引き出しを開け、中の小さなブリキ缶を取り出す。中には生活費の残りが入っているはずだった。 ……蓋を開けた瞬間、ルーシャの息が止まった。 空っぽだった。 「遅かったな、ルーシャ」 背後から、ひどく酒臭い息と低い声が響いた。振り返ると、昼間から安酒をあおったジミーがが近づいてくる。 働きに出るどころか、また昼から飲んだくれていたのだ。 ルーシャは空のブリキ缶を握りしめ、震える声で尋ねた。 「ねえ、ジミー……ここに入ってたお金、知らない……?」 その問いかけが終わるか終わらないかの瞬間だった。 ——ドンッ。 壁に叩きつけられた衝撃で、ルーシャの視界が真っ白になる。息ができない。首筋に熱い吐息が吹きかかった。 「うるせぇんだよ!!」 ジミーが獣のような咆哮を上げた。彼は狂ったように部屋の壁を蹴り飛ばし、椅子をなぎ倒した。 「あそこのカジノ、本当にイカサマばかりやってやがってよぉ……! 俺の金、全部吸い上げやがった! ふざけんな、クソが……ッ!」 ジミーはカジノでの全額使い込みを悪びれもせず叫び、荒れ狂っていた。八つ当たりの矛先は、床でうずくまるルーシャへと向く。 「なんだその目は! オメガのくせに、俺に文句言う気か!」 再び振り上げられた大きな拳。殺される——本能的な命の危険を感じたルーシャは、痛む身体を必死に捻り、ジミーの腕をすり抜けて玄関へと転がり出た。 「待ちやがれ、ルーシャ!!」 背後からの怒号を背に、ルーシャはまともにコートも羽織らず、雪の降る暗い夜の街へと駆け出した。 ◇ 凍てつく吹雪の中、息を白く散らしながらルーシャは走った。 殴られた頰が熱を持ち、ズキズキと激しく痛む。行くあてなどどこにもなかった。しかし、凍える足がすがるように向かったのは、皮肉にも昼間に自分を突き放したあの男のアパートだった。 コン…コン…コン… 震える手でドアを叩く。やがてガチャリと鍵が開く音がして、部屋着姿のレオノラが怪訝そうに顔を出した。 「……ルーシャ?」 レオノラは、雪まみれで震えるルーシャの顔を見て、ハッと息を呑んだ。白く美しい頰には、どす黒く腫れ上がった痛々しい青アザがくっきりと刻まれていた。 「お前、その顔……」 「……お願い、レオノラ。助けて……」 膝から崩れ落ちそうになるルーシャの腕を、レオノラは力強く掴み引き寄せた。 「とにかく……入んな」 温かい部屋に入れられ、レオノラは黙ってタオルを渡し、氷水で濡らしたハンカチをルーシャの頰のアザにそっと当てた。その優しさが、冷え切ったルーシャの心にチクリと沁みる。 ストーブの火が赤く揺れる中、重い沈黙が降りた。 「今日はもう泊まってきな」 レオノラの言葉に甘え、ルーシャはその夜、彼のアパートに留まることになった。部屋には一つしかない狭いシングルベッド。二人は身を寄せ合うようにして横たわり、一つの枕に頭を並べた。外の猛吹雪の音が、部屋の不自然なほどの静寂を際立たせている。 やがて、レオノラが天井を見つめたまま、ぽつりと口を開いた。 「……実はね、最近好きな人がいたんだけどね」 「え……?」 「急にいなくなっちゃったんだ。ルーシャを避けてた時は……実は、ちょっとその人に夢中だったんだよね」 自嘲するように微笑むレオノラの横顔を見た瞬間、ルーシャの胸の奥で、黒くドロドロとした感情が渦を巻いた。 (……おじ様だ。アルバートさんのことだ) 確信だった。あの日、手を繋いでこの部屋に入っていった二人。(87話参照)その事実は、レオノラの口から語られた「失恋の傷」によって、より生々しくルーシャの心を抉った。 ルーシャは、胸の奥で暴れる激しい嫉妬と絶望を押し隠し、わざと軽薄な笑みを浮かべてみせた。 「なんだ。レオノラも、結構気多いじゃん」 言葉とは裏腹に、ルーシャは急に身を翻すとレオノラに覆い被さるように抱きつくと、彼の股間をギュッと握りしめた。 「ねえ、レオノラ。君の、いなくなっちゃった彼氏とは……どんなことしたの?」 「っ……そんなこと…言えないよ」 「こんなことされたんでしょ?」 そう言ってルーシャは、抵抗しきれないレオノラの下着の中に冷たい手を滑り込ませた。 「あっ……!」 「もう、こんなに硬くなってる。その人のこと思い出してるんだね?」 ルーシャの胸を占めていたのは甘い情欲ではなかった。おじ様を奪われたという、レオノラへの歪んだ嫉妬と独占欲だった。 「……あん……っ////」 シーツに沈むレオノラを見下ろしながら、ルーシャは彼の耳元で低く囁いた。 「お尻がびっしょり濡れてるよ、レオノラ。ここも許したの?」 「っ……ルーシャ、やめ……あぁっ」 「ねぇ、答えてよ……ッ!」 ルーシャは無理やりレオノラをうつ伏せにひっくり返すと、邪魔な下着を乱暴に引き下ろした。そして、十分な準備もせずに、その濡れた場所へと一気に自身をねじ込んだ。 ——ずぢゅっ*♡。 「あ”っ……っ/////」 後ろから一気に貫かれたレオノラの背中が、大きくしなり上がった。シーツを握りしめる指が白くなる。 「あ”……あ”ぁ’……っ/////」 ルーシャは腰を激しく打ちつけながら、嫉妬をそのまま声にぶつけた。 「ねえ、答えてよ……何回、したのッ!」 荒々しく、貪るように腰を振りながら、ルーシャはレオノラの耳元で何度も嫉妬をぶつける。 「お尻でもイッたの!?」 痛みを堪えるように、レオノラはシーツを強く握りしめる。 ルーシャは覆い被さったまま激しく腰を打ちつけ、呪詛のように言葉を浴びせ続けた。 「ねえ! 答えてョ! お尻でも…イッたの!? 聞いてるのッ!!」 「あ” あ” あ” あ” あ” あ” あ” あ”」 「本物のアルファはこんなもんじゃないでしょ!!」 「ねぇ、教えてよ……ッ! 彼、よかったの!!」 言葉で執拗に責め立てながらも、ルーシャは泣いていた。おじ様を奪われた嫉妬と絶望か、それとも同じ喪失感を持つ彼にただ縋りつきたいだけなのか。自分でもコントロールできないほどの深い悲しみと孤独をぶつけるように、荒々しく乱暴に快楽を刻み込んでいった。 つづく — 学校も実習もサボり、現実から逃避するようにベッドの中で一日中快楽に耽り続ける二人。 「よくさ、こういうのって、自分たちの年の数だけするって言うよね」 次回 #93: 遠い始業のベルと共有した喪失、そして突きつけられた二本の線 「…もう、できないよ……」 お楽しみに!

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