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   時間をかけ、充分すぎるほど、丹念にほぐしたつもりだったけど、元々そこは、受け入れるようにはできてない器官だ。  ──そりゃ、痛いし、恐いに決まってるか…。  これ以上、進むことも抜くこともできずに迷っていれば、紺野の震える瞼が、うっすらと開く。…その睫毛に溜まった涙が、ライトの灯りを受けて小さくきらめくのを、じっと見つめていれば、  「…ど……?」  “どうしたの?”と、声にならない声で訊ねてくる紺野に、オレは胸の内の迷いを、そのまま切り出した。  「…つらいなら、やめようか…?」  オレの言葉を受けた紺野の喉が、ひくりと動いた。  それは、どれくらいの沈黙だったのだろう。紺野が何も答えないので、やっぱり抜こうかな、と思ったら──、  紺野の腕が、ゆるゆると伸ばされて、オレの首に回ると、思いがけず強い力で、グッと引き寄せられた。  「……して」  耳元で囁かれる、小さな懇願。  その体は正直に、恐怖と痛みに萎縮しているのに、それでも、オレのために無理して勇気を振り絞ってくれる紺野が、愛しくてたまらない。  けど、その勇気に甘えてはダメだろうと、なけなしの理性が、オレに訴えてくる。  「…でも、つらいだろ?」  「いいから、して。…続けて。お願い。──遼」  ギュッとオレにしがみつき、紺野は初めて、オレの名前を呼んだ。  ──嘘つけ。…震えてんじゃねえか。  優しくしたいし、無理強いはしたくないと思うのに──紺野は、オレの理性の砦を次々に壊し、導火線に火をつける。
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