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第8話 エスっ気

夏の扉を叩くのは 8 ー エスっ気 ー 蟹と格闘しながらも、次に来たハンバーグを嬉しそうに頬張る高光。 この歳でも食べることに夢中になれるんだなと、妙に感心してしまう。 まあ、感情を隠すのも下手そうだし、 さっきの現場での件はデザートでも食べさせながらゆっくり聞こうと俺は食後のコーヒーを頼んだ。 「 デザート何にする?」 目の前にメニューを広げると高光の眼が丸くなる。 「 俺、子どもじゃないんだけど 」 「 そうか?どう見てもさっきの食べっぷりは欠食児童みたいだったがな 」 まずい、皮肉に聞こえたか? 少し紅くなって俯いた顔がなんとも艶かしい。 「 金欠で腹が空いてるのはさ、本当のことだけど……」 「 そうか、高光は仕送りしてるんだっけ?」 「 うん、やっぱり父親だって責任あるじゃん。それに再婚するまであいつら結構生活大変そうだったから。俺で助けられるならって光には渡してたんだ 」 「 え?光君に直接?」 「 そうだよ、俺からの金、彼女は、光の母親も藤間の方も受け取らないもの 」 「 今でも子どもの光君に直接お金を渡してるのか?」 「 うん、この現場でまさか会えるとは思ってなかったから、前には光に俺の会社まで取りに来てもらってた 」 「 それを相手の家の人は知ってるのか?」 いや、知らないんだろうな……受け取らなかったくらいだからな。 頭を抱えたくなる。 子どもにお金を渡すなんてなんてことをしてるんだ。 高光に尋ねながらこれは直ぐになんとかしないといけないような予感がして来た。金がらみ……さっきの場面は金がらみなのかもしれない。 「 いったい、いくら渡してる? 」 「 うーんと、足りなくなると連絡来るから…… 月に10万以上は渡してるな 」 俺のいかにも問題ありだなという低い声の詰問に、最後は消え入りそうな声で伝えてくる怯えた高光。 俺の方は高光のアホさ加減に唖然とした。 「 さっきの現場の男も金がらみか?」 思わず声がきつくなる。 今晩は蒼ざめて俯いた高光の口を絶対に割らせよう。普段はつり目がちの切れ長の眼差しが困ったようにたわめられたそれに気持ちが酷くそそられる。 正に俺の大嫌いな教師魂が湧いて来た。 指導してやる…… 実際、教師なんてエスっ気のあるやつが多いんだから、高光覚悟しとけよ。 ーーーーーーーー このお話は作者の勝手な想像で書いている全くのフィクションです。 少しは経験値も入っておりますが…… 教師の方に不適格な表現が今から多々あることをこの場を借りてお詫びいたします。 (でも、実際にエスっ気のある人沢山いたもんねw)

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