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第13話 厄介な日
夏の扉を叩くのは 13
ー 厄介な日 ー
林先生を伴って面接室に入る。
ここからは改修工事をしている棟がよく見えるが、未だ誰も来ていないようだ。
俺は薄紫の作業服がチャリとでも見えないかと目を凝らしたが、
期待してた姿はもちろんここからは見えなかった。
座った林先生に先ほどの続きを促す。なるべくなら本人から本当の話を知りたい。
「 で、同じこと聞きますが。
生徒に個人的に貸すものって、なんですか?」
下を向いたまま頑なに口は開かないが、肩は震えているのがわかる。
「 林先生、君、脅されてるんじゃないの?」
ゆっくりと上げられたいつもは人好きのする顔は強張っている。
「 平田っていう男に 」
こちらがどこまで知っているのだろうかという測り、その気持ちが眼差しにダダ漏れになっている目の前の教員。
「 脅かされてる理由は。
それは、何か学校で、ここに関係してることか? 」
「 か、関係ないです……学校、は、
私、個人のことで 」
「 そう、脅されてることは否定しないわけか 」
今度は、しまった!と不安を塗り替えたように卑屈な顔を出す。
これが我が校の教員だとは……
気分が一気に悪くなる。
「 脅されていた、そしてあなたの机の中身が盗まれた。これって関係あるんじゃない?疑うよね、刑事にも事によっては言わなきゃならないよね 」
「 すみません、すみません。言わないでください……お願いします 」
蒼ざめた顔で訴え出すそのまた違う顔と声に虫酸が走った。
平謝りに謝るばかりで埒も開かない。一旦、職員室に戻ることにした。彼も今日は一限から授業があるとのこと……どうするか、大変なことしてれば発覚した日に授業させたことになる。
咄嗟に後二人いる保健体育の教員に代行頼むために胸ポケットからスマフォを出した。
そうか、校長も出張だったな。そう思いながら職員室に戻るために教員用玄関を通ると外が騒がしい。
なんだろう?未だ間際に生徒が駆け込んでくる時間帯でもないしと外を覗くと、
カメラを抱えた一団と警備員が揉めているところだった。
今日は本当に厄介な日になりそうだ。
林先生に先に戻るように伝えた俺はその揉めている一団に近づいた。
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