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第14話 貴方の周りの大事件 1
夏の扉を叩くのは 14
ー あなたの周りの大事件 1 ー
警備員が勝手に校内に入らないでと説得してる声が響く。
俺に気がついた女性が血相変えて近づいてきた。その形相に逃げたくなる足を押しとどめる。
「 あなたは?」
こっちの方が聞きたいよ。
「 私はここの教頭ですが、あなた方は?」
「 うわ!ぜひお話を聞きたいんですが 」
「 って、あなた方は何者ですか?」
「 えっと、今朝早くうちの"あなたの周りの大事件投函箱"に情報が流れてきてぇ 」
「 あなたは誰なんだ!」
一括すると驚いたような顔をして、あーそう言えばとやっと名刺を出してきた。
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あなたの周りの大事件
担当アシスタントディレクター
紺野美沙
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裏を返すと、
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あなたの周り小さな事件、
教えてくださ〜〜い
大事件になるかも‼️
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なんとも頭の痛くなるようなコメントが刷ってある。
カメラマンがずずっと俺の方に寄ってくる。
「 これ、まわってるの?」
「 はい!」
思わずレンズを手で覆う。
「 あ、やめてください!」
と言われてもそれはこっちのセリフだよ。
「とにかくあなた方の話を聞かないことには何も許可できない。
ひとまず、会議室に案内するから」
校門前には何事かとちらほら人が集り始めている。
登校する生徒も増えてきた。
巻き添えにするわけにはいかないので、まとわり付く騒がしい四人を会議室に案内した。
その時、塀の植え込みのそばで高光がこちらを見ているのに気がついたが、こんな事態になって声をかけるどころではなかった。
会議室に入るとまずここではカメラを回さない、会話を録音させないことを約束させる。
不満そうな顔をしたがそれだけは譲れない。
「 ところで何という情報が流れてきたんですか? 」
「 えっとぉ、生徒と教師の不純性行為と盗撮が行われてるってことです。こちらは都立有数の進学高ですよね!
その学校でそんな事が行われてるって大事件ですよねっ 」
「 そんな真偽もわからない事であなた方は押しかけてきたんですか?」
「 真偽もって、うちにもたらされるタレコミは結構あたる確率高いんですよ!それに、昨日教員室で教師のデータメモリ盗まれたって話じゃないですか。信憑性大ありですよね!もしかしてそのデータがその盗撮とか性行為のものとか 」
俺の不安な予感は的中した様だった。
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