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第16話 あなたの周りの大事件 3

夏の扉を叩くのは 16 ー あなたの周りの大事件 3 ー 林教員の口から出た名前に、俺は点々と頭の隅にあった不安や疑問がここで繋がるのかと妙な納得をしていた。 そして、一番先に気になったのが、 高光…… これから先どんな真実が出てくるかはわからないが高光がその事をどう受け止めるのか、受け止められるのか? 俺は急に酷く心配になった。 普通じゃない生い立ち、青少年期を過ごしたあいつにどんな影響があるのか。 いや、今はその事じゃない。 校長に報告する前に、 一年の学年主任と4組の担任、 気になる三年のあの生徒の担任にも話しを聞くか? 三年の主任教員は三枝君だったな。やはり担任を呼ぶ前に三枝君に相談してみるか。 面談室で林教員に待っているよう告げると俺は職員室にとって返した。 時間はもう三限目が終わる頃だった。教場から帰ってくる目当ての教員を静かに呼び寄せると空き時間の確認をする。 三枝君のは聞かなくてもわかっているから (俺も大概ストーカー並みだ) それぞれ四限の授業は副担と変われるか空いてると運良く都合がついた。 会議室に早速集まってもらう。 三枝君は四限はないはずだからラインで連絡を入れた。 一年の学年主任と4組の担任、 三枝君と三人の教員が集まったところで、俺は単刀直入に今までの事を伝えた。 「 林先生が……」 苦渋の顔を見せたのは、同じく保健体育の女性教員で4組の担任の佐川さんだった。 一年主任の村田先生と三枝君はやはりベテランのせいか、事実の確認に質問を怠らない。 一年主任の村田先生はまっすぐおれの顔を見て質問する。この人は間も無く定年という歳には見えないほど赤みがかった顔色の活発な人だ。 「 それでは4組の藤間光に言われて撮影をしていたという事なんですね 」 「 林先生本人はそう言ってます 」 「 藤間にも聞かなきゃならないか……保護者の同意がないと今は難しいのかな 」 「 重い内容だからな、最初から軽く聞いてみるわけにもいかないでしょうね 」 と、俺が答えると村田先生が続ける。 「 藤間の所は確かお母さんが藤間を連れて再婚したという事でしたが、共稼ぎと聞いています。母親に先に連絡するのがスムーズにいくのかな……佐川先生、藤間から親御さんの話なんかは聞いたことがありますか?」 「 え?どんな?」 若い佐川先生は聞かれたことの意味がよく把握しきれないらしい。 「 いや、藤間から新しいお父さんの話が出たりしていますか?」 俺が補足すると、 「 いいえ、彼は殆ど喋らないですし、親しい友達もいないようなのでよくわからないんです 」 まぁ、担任を持つのが二年目の新人ではなくそんな所だろう。 多分本当の親が学校の現場で働いていることも知らないだろう。 「 同年代に親しい子がいない?他学年にはどうですか? 」 俺は以前の不自然な二人を思い出す。 「 ちょっと良いですか?多分わたしが呼ばれたのはその話に関係あるんですね 」 教員としては至極冷静沈着、勘の鋭い所のある三枝君が話に入る。 正にグッドなタイミングだ。やっぱり私生活のあのほんわかしたギャップに萌えるなぁ…… 「 藤間が三年と交流があるということ、ですか?」 村田先生の問いに先日見た事、そしてその生徒は三年の6組の花沢祐樹だと名前を告げる。 後で学籍名簿で確認したから間違いはない。素行の悪くてよく名前が上がる生徒の一人だった。 「 花沢祐樹。彼は歳下を可愛がるようなタイプではないです。クラブにも入っていなかったし、接点は見えるところにはないかな……中学が一緒とか?藤間光は学区外転校で入学したので、、花沢の出身校 とか、 調べてみますね 」 「 藤間の家には?」 「 わたしが連絡します 」 本当の父親がすぐそこにいるのにな、連絡すると受けた俺のその顔を三枝君がじっと見つめる。 同じ思いを抱いているんだろうか。後でそっと三枝君と話してみよう。 俺はどんなことにせよ、 三枝君と話せるのが 嬉しい。 この恋心には本当に振り回されるよ。

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