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第17話 あなたの周りの大事件4
夏の扉を叩くのは 17
ー あなたの周りの大事件 4 ー
藤間光の両親とは一向に連絡がつかなかった。
放課後、藤間を主任教員とともに面談室に呼ぶ。
先ずは本人の言い分から聞こうと思ったのだが、貝のように一切口を開かない。
今の段階で無理に話を聞き出すわけにもいかないので、帰宅したらご両親に学校へ連絡してくれと伝言をして今日は家へ帰した。
林教員の方も、明日も必ず出勤してくることを言い聞かせて今日のことはひとまず終わりにした。
勿論、ベテランの村田先生にはこの後の面倒をしっかりとお願いをして。
「 私も独り身だし、今日はうちへ泊まらせます 」
という一言が心強い。
「 教頭先生 」
甘くハスキーで穏やかな呼びかけに振り向くと、三枝先生が資料を持ち近寄ってくる。
「 あ、何かわかった?」
「 はい、花澤と藤間の接点じゃないかってところを 」
「 じゃぁ、飯でも食べながら 」
ドキドキしながらそう伝えると、
「 すみません、今夜はこの後寄るところがあるので 」
あっさりと断られる。
俺は今日一番がっかりした気持ちで、
「 じゃぁ、そこの面談室で聞こうか 」
と面談室の引戸を開けた。
「 先生、一応言っときますけど、今夜は子どもたちと食事する約束、してるだけですから 」
少しからかい気味にそう言う口元が小さく弓を描く。
「 ふぅん、そうなんだ!それは羨ましいな 」
そっか、子どもたちとか……
その口元に引き寄せられて、
現金にも一気に気分が上がる俺だった。
「 花沢祐樹、やはり出身校それも小学校が一緒でした。その小学校もですが、花沢の出た中学は繁華街のど真ん中ある比較的問題の多い場所です。
藤間光は中学はお母さんの都合で隣町の中学でしたけど、藤間と花沢は小学校の頃は同じ公営団地にいたようです。その時からの接点があるのかもしれないですね 」
「 そうか、そんな前からの縁がありそうか……
花沢祐樹の親御さんは?」
「 父親だけで、駅前で夜飲食店をしています 」
「 今は生徒の個人情報も集めるの大変だっただろう。
三枝君ありがとう 」
「 それで?どうするんですか?
校長先生は今週いっぱい出張ですよね 」
「 うん、とにかく林教員と藤間光と二人の話の辻褄が合わないことには、どうしようもない。明日の藤間さんからの連絡を待とう 」
お疲れ様、と三枝先生が帰った後、学校内の見回りをガードマンに重々お願いをして俺は重い足を駐車場に運んだ。
駐車場には俺の車と、遠くに警備会社の車が停まっているそれを眺めながら、
今日一日、高光とは話せなかったな……独りごちたその時。
俺の車の側にしゃがみ込んでいた黒い物体。
俺を見て徐に立ち上がったそれは、
高光だった。
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