25 / 100
第25話 我慢の連続だ
ー 我慢の連続だ ー
「 教頭先生は聞かない方が良いと思います。聞いたらそのことを無視して通れない立場だし、学校とは関係ない話。
僕には伝える義務もない。
生徒が学校外で、何をしようと先生自体にはなんの関係もないですよね?」
「 だが現に藤間は学校でも問題を抱えて……」
「はい、そのことは親と一緒に説明すれば良いですよね、
僕のお金の使い道とは関係ありませんね 」
これ以上は親がいない今、追及もできない。しっかりと藤間に足元を見られた。
「 光、あのお金は……」
おずおずと口を挟もうとした高光に藤間からの叱責が飛んだ。
「 黙って!」
「 はい 」
おいおい、しっかりしろよ。少なくとも16は歳上なんだろ?と言いたいところをグッと我慢し、今日までのバラバラに起こった事を綿密に並べて検証しなければならない。
それには口の一番軽そうな高光を丸め込んで知ってる事を喋らせるしかないか……
「 おい、高光。今日も仕事帰りに付き合ってくれ。上手い天ぷら食わしてやるから 」
「 え!天ぷら!俺いつ食ったかな…… 」
食いもんで釣る俺も俺だが、釣られるお前もお前だよ、高光。
「 教頭先生、汚い手を使いますねぇ。貧しい男を食べ物で釣るなんて 」
しまった、小利口な藤間の前で言う事じゃなかった!
「 貧しい男って、俺?」
自分自身に指をさしている高光を呆れたような顔をした藤間が眺めてる。
貧しくしてるのは藤間、お前のせいだ。またもや言いたい事をグッと我慢する。
教頭の仕事はグッと我慢の連続だ。
「 兎に角、始業の時間だ。このまま学校に行くぞ 」
中途半端な話のまま、奇妙な三人で登校することになった。
ともだちにシェアしよう!