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第26話 三枝先生 に キュン
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ー 三枝先生 に キュン ー
二人を車に乗っけて学校の裏門近くで一旦止める。
「 ここからは徒歩で行ってくれ 」
「 わかった 」
「 ありがとうございます 」
二人はそれぞれに相応しい挨拶をしながら降りる。
そのまま駐車場に車を入れると、職員用入り口に何人かの教師が集まっていた。
「 おはようございます 」
振り向いた中に三枝先生の顔も見える。朝らしくスッキリとした可憐な面差しに思わず顔が綻んだ。
「 おはようございます 」
口々に返す先生方の顔色は一様にあまり良くない。
「 どうしました?」
と聞くと、
「 今朝の番組 」
と二年の主任が言葉を濁す。
「 今朝の?私は出るのが早かったのでテレビは観てませんが何かありましたか?」
「 それが……」
「 とにかく、ここじゃなんですから、中に入りましょう 」
と横にいた三枝先生を中へ促すよう背中に手を添えると、
ごく僅かにストライプの入った薄いピンクのシャツの上からでも少し骨ばった背中の薄いラインが感じられる。
姿勢が良いから肩甲骨辺りからお尻まで指で辿りたくなるカーブは硬質でも弓なり、そしてその先には小ぶりな……
そんな事でも俺の気分は高揚する 。
その時なぜか視線を感じてふっと後ろに目をやると、ちょうど高光が駐車場の通路を横切るところだった。
見られたかな……
おい、なんでしまったと今思った?
四人でひとまず応接室に入ると、
二年の主任がおもむろに話し始めた。
「 今朝の例の番組、あなたの周りのなんとかってので、又更に詳しい内容の投稿があったようで今度は画像が一枚貼られてたと」
「 画像?どんな?」
「 それは、ぼかしてあったのでからないんですが、説明だと肌色の明らかに不純な交遊の姿であると言ってましたね 」
「 そこまで?テレビで?」
「 まぁ、ゲストのタレントに冗談のように言わせながらですが 」
「 今朝は来てないね 」
「 はい、まだ……でも来るでしょう 」
「 一年主任の村田先生と林先生はまだ?」
「 ええ、私はまだお会いしてませんね」
三枝先生がそう言うと、あとの二人も頷いた。
「 遅いですね、村田先生は私の前にはいつも来てるのに 」
四人は一切に外を見た。
騒がしい一団が校門辺りで揉めている。
俺はやれやれと思いながら座ったソファから立ち上がって廊下に出ると嬉しいことに、
「 私もいっしょに 」
と三枝先生が付いて来てくれた。
嬉しい半分、マスコミにこの綺麗な姿を見せたくないなぁという反対の気持ち半分。
悩ましい吐息の先には凛としたその横顔、やっぱり好きだな。
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