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第33話 不甲斐なさプラス、奢られる缶コーヒー
夏の扉を叩くのは 33
ー 不甲斐なさプラス、奢られる缶コーヒーー
◯城署の敷地内き車を入れ空いていたスペースにクルマを止めるととすぐに建物内に入るが、
免許更新と生徒の万引き容疑以外でしか入らない警察署の中のことがわかるはずもない。
受付で聞けば良いのか?
安堂さんにもっと詳しく聞いとくんだった……
そうだ、刑事の名刺の電話番号に連絡すればと気がついた俺はすぐに名刺を取り出して番号をタップする。
何回か呼び出し音が鳴った後に、
「 はい 」
という低い野太い男の声が応答した。
「 私、◯◯高校の菅山と言います。前日お会いした△△さんの電話ですね 」
柄にもなく緊張しているせいか声が少し上ずった。
「 あ、そうです。教頭さんですか? 」
「 はい 」
「 どういった?ご用件で?」
「 実はこちらに先程高光さんがこられてそのままこちらに居ると聞いて 」
「 どなたに?」
惚けてるな……
「 同行した安堂さんです」
「 あぁ、あの人か…ところでどんなご用件ですか?」
俺は一芝居打つ気でいた。そうじゃなけりゃここまでくることはない。
「 お伝えしたいことがあるんです。
平田さんと高光さんに関して 」
「 ……あなたが?」
「はい、少し前に目撃したことが気になっていて 」
「 目撃?何か見たということですか?
少しこのまま待っていてください 」
通話は保留のまま、しばらく待たされた。
じりじりしてところで、
「 三階に上がってきてください、刑事課がありますから 」
俺は深呼吸してから、エレベーターに向かった。
エレベーターの扉が開くなり、とても冷房が効いてるとは思えないモアっとした鬱陶しい空気が襲ってくる。
一番近いデスクに取り敢えず歩み寄ると、奥の方から見知った顔が出てきた。
「 菅山さん、榛の木です 」
そうだそんな変わった名だったな。
よれたワイシャツ姿に無精髭が浮かびネクタイの結び目を緩めた姿と校門でのすがたがようやく重なる。
「 すみません、空調の調子が悪いもんで 」
とパーティションで遮った小さな空間に促された。
俺を座らせるとそのままどこかに行った彼が二本の缶コーヒーを持って現れたのはすぐだった。
「 こんなもんで、申し訳ないが 」
いやと手刀を切って受け取る。
プルタブを開けてひとくち缶コーヒーを飲んだ榛の木氏が言葉を発した。
「 で、あなたは何を見たんですか?」
「 その前に高光さんがなんでこちらに留め置かれてるか知りたいですね 」
「 あなたは高光さんとどんな関係があるんですか? 」
嫌味な聞き方はもしかして平田と高光の身体の関係があったのを知ってるのか?
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