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第35話 腐れ縁

ー 腐れ縁 ー 長く待たされるのかもしれないし少し気分を変えようかと廊下に出てトイレを探す。 廊下の奥に自販機がありその奥にトイレのマークらしきものが見える。 廊下の両サイドが同じような配置になってるらしく、おれは遠い方のトイレを目指した。 まぁ、普段見慣れない建物の中だからな、見学くらいしてもバチは当たらないだろう。 トイレで用足しをし、自販機で適当にペットボトルのお茶を買う。 戻る途中に階段があったな屋上にでも出られるのか? 刑事って良く屋上でサボってるよな。そんな刑事ドラマからのどうでもいい情報を思い出しながら階段のホールに足を向けると階段の上から何人かひとが降りてきた。 榛の木刑事の声ともう少し若めの男の声。さっき榛の木さんの所に来た若い刑事と声が似てると思っていたら、その二人ともう一人よく知ってる薄紫色のニッカポッカの下半身。 降りて来たのは高光も一緒だった。 階段室のホールで三人を迎えた俺を見下げるように降りて来た榛の木刑事はギョッとしたように足を止めると、 「 何してるんですか! 」 とえらい焦ったように俺に迫る。さっきはやっぱり余裕かましてたか。 「 いや、屋上にでも出てみようかと思って 」 うちの学生より酷いすっとぼけた言い訳に刑事は溜息をつくと、 「 屋上には一般の人は出られません 」 と俺を押しのけるようにして廊下に出る。 俺に気がついた高光が、 「 え?菅山さん!」 と声を上げると、 「 おい高光、さんをこっちへ 」 と若い方に指図し強引に俺を振り返る高光を連れて刑事部屋に入ってしまった。 置いていかれた若い刑事に、 「 高光さんは、今日、帰れるんですよね 」 と刑事部屋にも聞こえるように大きな声で声をかけると、どちらとも言えない顔をしながら、 「 とにかく、そこのベンチで待っててください 」 と言うなり慌てて彼も部屋に入っていく。 そうか、待てってことは帰れるってことだな 俺は弁護士の知人が登録されてるスマフォをしっかりと握りしめた。 泰子の出番はまだそうだ。 人の弱みに食らいついたら離さない、 ドーベルマン泰子 このありがたくないあだ名の持ち主は、 青木の学生時代からの長い長い腐れ縁の友人。 兼、弁護士だった。

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