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第40話 ー 後悔は先にしとけばー
夏の扉を叩くのは 40
ー 後悔は先にしとけば ー
「 違う、違う、あの人とはセックスなんてしてないよ!俺いつも奢ってもらうお礼に安堂さんの全身マッサージをして上げるから……
そりゃ溜まってたら抜いてあげたりはするけど、
でも、口でじゃないよ 」
段々と搔き消えるように小さな声になる高光のすまなそうな表情。
それを聞いた俺の下腹にはまた重い熱が溜まる。
「 あ、大きくなっちゃった?
俺、してやろうか? 」
俺は高光と知り合ってからすっかり節操を失った自分の息子に嘆息すると有難い申し出は断ってその先の話を促した。
「 それで、なんかサウナで俺が居たことを確かめたらしくて、
任意同行だからどうのこうので、もう一旦帰っていいからってことになった。
で、さ、今度は俺の質問に答えてよ。
光はその盗撮騒ぎとなんか関係があるの? 」
「 いいか、高光。藤間君がまだ何も喋ってくれないから、林先生の方の一方的な話しか俺は把握できてない。
今朝、藤間君のお父さんが学校へみえたからなんとか光君から話を聞き出して欲しいとお願いをした。藤間さんは母親を交えて今夜話すと約束して帰ったんだ 」
「 あぁそれで今晩、光は来ないって言ったんだ。でも、林さんはなんて言ったの?光の事を話したんだろ?」
「 それは、悪いがまだ話せない……」
と言いながら俺はあの事件が起こる前の日に、藤間と三年の花井が何か話していた場面に遭遇した事を急に思い出した。
あれはセキュリティーのかかるギリギリの時間だった筈だ。
何か、藤間が花井に頼みごとをしていた風だったあの二人。
そして、テレビの番組に情報を流したのは林を脅かして金づるにしていた平田ではないだろう。そのほかにあのデータの存在を知っている者……
藤間は林にもあの朝ファミレスで直接何かを言ってた。あれは林を脅かしてたのか。
藤間か?情報を流してのは藤間光?
なんで藤間がそんな事をするんだ?
何も言わずに考え込んだ俺を心配そうに見つめながら、
「 先生、盗撮されていたのは光?」
高光の言葉に自分の思考で手一杯だった俺は思わず頷いていた。
そして高光に再度花井の事を尋ねた。
小学校の頃から二人は知り合いなのか?同じ団地だったんだろう?と。
その花井の事を聞いた途端固まった高松の表情を俺はその時あまり重大とは考えなかったんだ。
それがどんな後悔しても仕切れない結果になるとは……
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